こらぼでほすと 桃色子猫2
キラたちが、『吉祥富貴』に出勤すると、事務室には見事な船盛りと、カルパッチョ風サラダと、茹でたイセエビ、ブイヤベース風スープが、どどんと鎮座していて、そこにスタッフ全員が集まって食事中だった。
「それ、どうしたんですか? フラガさん。」
「ママんとこに、カガリ嬢ちゃんから差し入れされたんだけど、量が多かったからお裾分けなんだと。」
「え? 」
「まだ、これでも半分もないんだぜ、アスラン。カガリに日持ちしないから限度考えろって、注意しといてくれ。」
がつがつと茹でられたエビと格闘中の悟空が、そう言う。つまり、これの倍以上が寺に送りつけられたらしい。それはやりすぎだろう、と、アスランでも思う。キラも、おやつを食べていないから、きゃあーと、それに飛びつく。
「とりあえず、食べながら聞いてくれ。まず、オーヴからの情報だ。」
ちょうどいいから、ここで、オーヴでの話をしておくことにした。ミーティングではないから、トダカや爾燕が揃っていなくてもいい。MS組は全員いるからのことだ。つらつらと、あちらからの情報を説明すると、ふむ、と、鷹と虎が頷く。
「それってことはだな、アスラン。宇宙のほうにも、アローズが進出する準備も完了したってことだな? 」
「それなら、ちょうど、プラントに上がるから、あちらで議長とも打ち合わせしておこう。それ、文章になってるものはあるのか? 」
「一応、キサカさんから報告書はいただきました。何かややこしいものをオービタルリング周辺に建造しているらしいので、そちらは調査中です。」
オーヴも、連邦の動きには目を光らせている。宇宙からの攻撃だと、島国であるオーヴには脅威だ。周辺国と隣接していないから、集中的に攻撃されることになる。
「そろそろ、プラントにもヤバくなってきたな。」
ハイネもニヤリと笑う。オーヴの仕事をしてきたから、そこいらの話は理解している。もし、プラントまで、アローズが喧嘩を仕掛けてきたら、ハイネは復職するつもりだが、まだ、その時期ではない。
「来週、プラントに上がる時に、おまえも出向くか? ハイネ。」
「いや、そっちは、イザークたちに任せるさ。俺は消耗品だ。考えるのは、あっちの仕事だし、俺も休暇が欲しいぜ、虎さん。」
お盆ウィークは、オーヴで、ちょこまかと働いていたハイネは、まともな休暇がなかった。そろそろ、休みたいと思っている。
「あ、それなら、アッシーやってよ、ハイネ。僕ら、ママとフェルトとプールに行くから。」
キラも、茹でたエビにマヨネーズをつけて、もしゃもしゃやりつつ、ハイネに頼む。どうせ、休みなら寺でゴロゴロするつもりだろうから、だ。
「おう、そういうことなら、お安いご用だ。ママニャンのアッシーでもやって、休むつもりだったからな。」
「明後日、プールに行くから参加者は、アスランに言ってね。」
「うちの親父も参加するぜ。」
「え? 三蔵さんがプール? 」
おや、珍しい、と、ダコスタが、全員の意見を声にする。レクリエーションには、ほとんど参加しないから、とても珍しいことだ。
「フェルトが、パパとママと行きたいって言うからだよ、ダコスタ。」
「あーそういうことなら動くか。」
桃色子猫が行きたい、と、ねだれば、いかな鬼畜坊主といえど動くらしい。まあ、それはアリだろーなーと、悟浄も頷く。
「アスラン、来週、キラくんがプラントに上がった時は、店のほうは予約がある場合だけの営業ってことでしたが、予約がないんですよ。」
八戒が、今のところの予約状況をチェックして、そう報告する。ナンバーワンホストがお休みだから、というよりは、世間も休み明けで、わざわざ、ホストクラブで癒される必要がない様子だ。
「それなら休みにしましょう。もし、予約が入ったらお任せします。」
「わかりました。ご指名が、こちらにいる場合はお受けします。それと、僕らのほうでも何かしておくことは?」
基本、対人間組は、MS関連には手を出さないが、何かしら手伝えることがあれば、手を出すこともやぶさかではない。
「今のところはありません。本格的に動き出したら、ラボのほうの手伝いをしてもらうかもしれません。」
「連絡係くらいならやりますから、遠慮せずに言ってください。」
「そこそこ講習は受けてるから、なんとかするさ。」
八戒と悟浄は、そちらの手伝いもするつもりで、たまに、ラボのほうで管制室の業務や通信関係の講習はしてもらっている。MS組が、宇宙へ上がることになると、どうしても人手が不足してくるから参加することになる。お願いします、と、アスランも軽く会釈する。とりあえず、このままミーティングもやってしまうか、と、調理場とホールに声をかけに走る。本日は、再開初日で、予約も多い。そろそろ、第一陣が現れる時間だ。
「すいません、トダカさん、三蔵さん、ミーティングは事務室のほうでやります。」
カウンターには、ちゃんと料理も届いていて、トダカと三蔵は、のんびりと薄めたサワーで飲んでいたが、アスランが現れると、ああ、と、立ち上がる。
「三蔵さん、プールは、俺たちも参加します。」
「おまえらが行くなら、俺は行かなくてもいいな。」
「いや、フェルトと遊んでやってください。」
桃色子猫からも、「一緒に行きたい」 と、言われているから無碍にもできないのか、おう、と、坊主も頷く。まあ、歌姫が来ないからのことだろう。
・
・
店が終わってから、ハイネが運転手で寺へ戻ったら、ちゃんと、寺の女房は待っていた。悟空の夜食の準備はしてある。
「おかえりなさい。」
「魚はもういい。店でも食わされた。」
「定番メニューを用意してありますよ。」
「キラたちも来るらしいぞ。」
「ああ、そうでしょうね。」
外出用の着物を脱いで、坊主は、そのまんま風呂に行く。悟空は、先に食い気だから、すでに、オロシハンバーグに手を出していたりする。
「ハイネ、メシは? 」
「飲むぐらいかな。俺、今日から居候。」
「はいよ、脇部屋でいいな? 」
手早く、ハイネのほうの準備もして、ニールは脇部屋のほうへ布団の用意に行ってしまった。桃色子猫は、すでに寝ているらしい。
「また、桃色子猫が帰ったらダウンすんだろーなー。」
「しゃーねぇーよ、ハイネ。」
「せつニャンは、十月くらいの予定だから、ちと間が空くしなあ。」
「てか、俺は、それより台風が気になる。」
台風による気圧変化は、普段の雨より酷いのか、親猫は熱を出してぐったりする。あんまり台風が来ないといいのだが、昨年は少なかったから、今年はどうだろう、と、悟空は心配している。
「今の予報では、あんまり来ないらしいけどなあ。」
「そうだといいなあ。」
「悟空は、まだ夏休みなんだよな? 」
「おう、そうだぜ。でも、やることはいろいろあるけどな。」
お盆の墓参りの後片付けやら、境内の草むしりやら、いろいろとやることはあるので、暇ではない。夏休みの宿題は、本山でやってもらったから、それがないだけ気分的には楽だ。
「ハイネも休みなんだろ? 」
「それ、どうしたんですか? フラガさん。」
「ママんとこに、カガリ嬢ちゃんから差し入れされたんだけど、量が多かったからお裾分けなんだと。」
「え? 」
「まだ、これでも半分もないんだぜ、アスラン。カガリに日持ちしないから限度考えろって、注意しといてくれ。」
がつがつと茹でられたエビと格闘中の悟空が、そう言う。つまり、これの倍以上が寺に送りつけられたらしい。それはやりすぎだろう、と、アスランでも思う。キラも、おやつを食べていないから、きゃあーと、それに飛びつく。
「とりあえず、食べながら聞いてくれ。まず、オーヴからの情報だ。」
ちょうどいいから、ここで、オーヴでの話をしておくことにした。ミーティングではないから、トダカや爾燕が揃っていなくてもいい。MS組は全員いるからのことだ。つらつらと、あちらからの情報を説明すると、ふむ、と、鷹と虎が頷く。
「それってことはだな、アスラン。宇宙のほうにも、アローズが進出する準備も完了したってことだな? 」
「それなら、ちょうど、プラントに上がるから、あちらで議長とも打ち合わせしておこう。それ、文章になってるものはあるのか? 」
「一応、キサカさんから報告書はいただきました。何かややこしいものをオービタルリング周辺に建造しているらしいので、そちらは調査中です。」
オーヴも、連邦の動きには目を光らせている。宇宙からの攻撃だと、島国であるオーヴには脅威だ。周辺国と隣接していないから、集中的に攻撃されることになる。
「そろそろ、プラントにもヤバくなってきたな。」
ハイネもニヤリと笑う。オーヴの仕事をしてきたから、そこいらの話は理解している。もし、プラントまで、アローズが喧嘩を仕掛けてきたら、ハイネは復職するつもりだが、まだ、その時期ではない。
「来週、プラントに上がる時に、おまえも出向くか? ハイネ。」
「いや、そっちは、イザークたちに任せるさ。俺は消耗品だ。考えるのは、あっちの仕事だし、俺も休暇が欲しいぜ、虎さん。」
お盆ウィークは、オーヴで、ちょこまかと働いていたハイネは、まともな休暇がなかった。そろそろ、休みたいと思っている。
「あ、それなら、アッシーやってよ、ハイネ。僕ら、ママとフェルトとプールに行くから。」
キラも、茹でたエビにマヨネーズをつけて、もしゃもしゃやりつつ、ハイネに頼む。どうせ、休みなら寺でゴロゴロするつもりだろうから、だ。
「おう、そういうことなら、お安いご用だ。ママニャンのアッシーでもやって、休むつもりだったからな。」
「明後日、プールに行くから参加者は、アスランに言ってね。」
「うちの親父も参加するぜ。」
「え? 三蔵さんがプール? 」
おや、珍しい、と、ダコスタが、全員の意見を声にする。レクリエーションには、ほとんど参加しないから、とても珍しいことだ。
「フェルトが、パパとママと行きたいって言うからだよ、ダコスタ。」
「あーそういうことなら動くか。」
桃色子猫が行きたい、と、ねだれば、いかな鬼畜坊主といえど動くらしい。まあ、それはアリだろーなーと、悟浄も頷く。
「アスラン、来週、キラくんがプラントに上がった時は、店のほうは予約がある場合だけの営業ってことでしたが、予約がないんですよ。」
八戒が、今のところの予約状況をチェックして、そう報告する。ナンバーワンホストがお休みだから、というよりは、世間も休み明けで、わざわざ、ホストクラブで癒される必要がない様子だ。
「それなら休みにしましょう。もし、予約が入ったらお任せします。」
「わかりました。ご指名が、こちらにいる場合はお受けします。それと、僕らのほうでも何かしておくことは?」
基本、対人間組は、MS関連には手を出さないが、何かしら手伝えることがあれば、手を出すこともやぶさかではない。
「今のところはありません。本格的に動き出したら、ラボのほうの手伝いをしてもらうかもしれません。」
「連絡係くらいならやりますから、遠慮せずに言ってください。」
「そこそこ講習は受けてるから、なんとかするさ。」
八戒と悟浄は、そちらの手伝いもするつもりで、たまに、ラボのほうで管制室の業務や通信関係の講習はしてもらっている。MS組が、宇宙へ上がることになると、どうしても人手が不足してくるから参加することになる。お願いします、と、アスランも軽く会釈する。とりあえず、このままミーティングもやってしまうか、と、調理場とホールに声をかけに走る。本日は、再開初日で、予約も多い。そろそろ、第一陣が現れる時間だ。
「すいません、トダカさん、三蔵さん、ミーティングは事務室のほうでやります。」
カウンターには、ちゃんと料理も届いていて、トダカと三蔵は、のんびりと薄めたサワーで飲んでいたが、アスランが現れると、ああ、と、立ち上がる。
「三蔵さん、プールは、俺たちも参加します。」
「おまえらが行くなら、俺は行かなくてもいいな。」
「いや、フェルトと遊んでやってください。」
桃色子猫からも、「一緒に行きたい」 と、言われているから無碍にもできないのか、おう、と、坊主も頷く。まあ、歌姫が来ないからのことだろう。
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店が終わってから、ハイネが運転手で寺へ戻ったら、ちゃんと、寺の女房は待っていた。悟空の夜食の準備はしてある。
「おかえりなさい。」
「魚はもういい。店でも食わされた。」
「定番メニューを用意してありますよ。」
「キラたちも来るらしいぞ。」
「ああ、そうでしょうね。」
外出用の着物を脱いで、坊主は、そのまんま風呂に行く。悟空は、先に食い気だから、すでに、オロシハンバーグに手を出していたりする。
「ハイネ、メシは? 」
「飲むぐらいかな。俺、今日から居候。」
「はいよ、脇部屋でいいな? 」
手早く、ハイネのほうの準備もして、ニールは脇部屋のほうへ布団の用意に行ってしまった。桃色子猫は、すでに寝ているらしい。
「また、桃色子猫が帰ったらダウンすんだろーなー。」
「しゃーねぇーよ、ハイネ。」
「せつニャンは、十月くらいの予定だから、ちと間が空くしなあ。」
「てか、俺は、それより台風が気になる。」
台風による気圧変化は、普段の雨より酷いのか、親猫は熱を出してぐったりする。あんまり台風が来ないといいのだが、昨年は少なかったから、今年はどうだろう、と、悟空は心配している。
「今の予報では、あんまり来ないらしいけどなあ。」
「そうだといいなあ。」
「悟空は、まだ夏休みなんだよな? 」
「おう、そうだぜ。でも、やることはいろいろあるけどな。」
お盆の墓参りの後片付けやら、境内の草むしりやら、いろいろとやることはあるので、暇ではない。夏休みの宿題は、本山でやってもらったから、それがないだけ気分的には楽だ。
「ハイネも休みなんだろ? 」
作品名:こらぼでほすと 桃色子猫2 作家名:篠義