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【ヘタリア/独普】 (略)おれさまにっき3 【サンプル】

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ふわわ、と大欠伸をしてプロイセンはくしゃくしゃの髪を撫でる。肩の小鳥も眠そうに羽を羽ばたかせて、プロイセンの首筋に頬を寄せた。
かわいいな、と笑ってそのふわふわの黄色い頭を撫でる。少しだけ、眠気が飛んだ気がした。
がらんとしたリビング。空気は冷たい。すでにドイツが訓練に出かけていることを示していた。今日もまた、ビシバシ日本とイタリアを指導していることだろう。
朝ごはんでも作るかーと腰を上げると、ドアベルの高い音がプロイセンの耳を貫いた。
「はいはいはーいっと」
ぴょんぴょん跳ねながら玄関に急ぐ。少なくともドイツではないことはわかっていても、誰か訪問者があるのは嬉しいことだ。
誰かな、誰かな!と心躍らせながら、プロイセンは勢い良く扉を開けた。
「おぅ!こちら自宅警備員プロイセン!今日も絶好調だぜ」
「おはようございます」
ゆったりとした動作で頭を下げた黒髪に、プロイセンの目が丸くなる。程なくしてふにゃりと相好を崩した彼は、挨拶をした日本を招き入れるように大きく扉を開けた。
「よお。めっずらしいな。日本が家に来るなんて」
「ちょっといろいろありまして……」
眉を寄せてちらりと日本は視線を後ろに向けた。
「おはよー!」
「おぉイタリアちゃん!おはようだぜ」
ひょっこり後ろから現れた笑顔のイタリアに、プロイセンの頬がだらしなく緩む。花のような笑顔に、眠気など当の昔に吹っ飛んでいた。
「みてみてプロイセン~!ドイツだよ~」
「い、イタリア!」
イタリアはふわふわと周りに花を咲かせてにっこりと微笑むと、手に抱えた小さな子供をひょいと掲げて見せた。
足をばたつかせる子供は、ちょうど幼稚園児くらい。プロイセンの赤い目が、涼やかな水を思い出させるくるりと大きな青い目を捕らえた。恥ずかしそうに視線をそらし、手触りのよさそうなさらさらとした金髪が動きに合わせて軽やかに揺れる。
何度か目を瞬かせてプロイセンは視線を合わせたまま、ゆっくりと口を開いた。
「ヴェスト?」
「お、おはよう、兄貴」
ぽぽぽ、と顔を赤くさせて、ドイツはイタリアに支えられながら口の中で言葉を紡ぐ。裾から手は見えずだらりと布ばかりが伸びているし、足は辛うじてたくし上げられたズボンから靴が見えるか見えないか。
すっかり、縮んでいる。
聞こえるか聞こえないかの声を拾い上げ、何度か目を瞬かせたプロイセンは、しばらくじっと見つめると大きく見開いた目をキラキラと輝かせた。
「ふぁあぁぁぁ!ちっこい!なにこれちっこい!!」
「はい、どうぞー」
ぽえぽえと頬を緩ませて、イタリアは抱き上げていたドイツを今か今かと待ち構えていたプロイセンに手渡した。
プロイセンはそっと脇に手を差し入れ、イタリアからドイツを受け取った。両手にかかるその身体はずいぶん軽い。抱き上げたその身体を、間髪いれずに抱きしめた。
「ふぉおおおぉぉぉ!ふにふに!マジでふにふに!」
「あ、兄貴!」
「ふぁぁあ!さらさらのすべすべだぜええぇぇえぇ!」
「く、苦しいんだが……」
雄たけびを上げながら腕の中にドイツを閉じ込めるプロイセンを、ドイツは押し返しながら声を上げる。そんなことはお構いなしに、プロイセンは興奮して面積のずいぶん小さくなった、それでもふっくらとした桃色の頬に自分の頬を寄せた。
なんか幸せそう、とつぶやいたイタリアの言葉を耳にして、プロイセンははたと動きを止める。手の中にいるドイツも、ほっと胸を撫で下ろしてばたつかせていた足を下ろした。
プロイセンの赤い瞳が、ドイツと、日本と、イタリアを行き来する。
「なんでこんな楽園なことになってるんだよ」
「楽園じゃない」
「楽園だろ。天使だぜ」
はふー!と熱気のこもった穏やかな息を吐き出して、力いっぱい抱きしめる。ドイツは兄さん、と小さく口にしながらも、一回りも二回りも小さくなった手を服から無理やり出してプロイセンの頬を撫でた。
嫌そうに眉を寄せながらも、抱きしめられることに関してはまんざらでもないらしい。
ほほえましく見守るイタリアと日本に、なぁ、と言いながらプロイセンは顔を上げた。
とたんにぴたり、と二人の笑顔が引っ込む。顔を見合わせて、日本がおずおずと口を開いた。