ここにも敵が
「...二人とも!戦ったりしたら...もうご飯作ってあげないから!!!!」
「「!!?」」
(何いってんだろぉ~わたし.....)
勢いで言ってはみたものの、恐る恐る顔を上げ二人の様子を伺うと、タカミは困った顔をして頭を掻き、アクトは納得いかない様子で剣を鞘に収めていた。
(え....効いたの...?)
「ずるいよアキ!アキのご飯僕が大好きなの知ってるくせに.....」
ふてくされるタカミに..
「....チッ....バカバカしくてやってらんねぇ...」
不機嫌そうに言い捨てそっぽを向くアクト。
「.....二人とも...はぁ~良かった~」
(っていうか何でこうなるの...?なんか一番焦ったりして被害受けたの私なんですけどぉ..)
安堵とともに自分の立場を思い返すとアキはなんだかどっと疲れ虚しくなった。だがこんな状況はこの二人には付き物で考え込んでも解決はしない、気分を変えようっと
顔を上げて笑顔で二人に向き直った。
「ね、じゃあさっそく家帰って皆でご飯食べよう!」
「.......チッ....また邪魔な奴が増えたぜ...」
「あ!そ~いえば、陛下の命令とかで今夜は晩餐会とか言ってたよ、僕はアキのご飯がいいけど...そだ!アキも一緒に行こうよ!」
「え!!!?晩餐会!!?」
(あの怖い王様と.....)
突然の誘いに驚きすぐさまアキは断ったがタカミの押しに圧倒される。
「それにその格好じゃ帰れないでしょ?ここの使用人に用意させればいいじゃん!」
「あ....」
そういえばと思いだし自分の格好を見るとやはり衣服の破れは目立つし、帰ってクラトやカヤナに問われるのも躊躇いがある。当の犯人アクトは気まずそうに
視線を逸らして何も言わない。
「決まり!いいでしょアキ?僕たまにはアキと二人でゆっくりしたい!」
「おい、二人じゃねぇだろ。夜会は面倒だが、連れて行くなら俺がアキと出席する」
「アクトは駄目。二人にしたらまた襲っちゃうもん。」
「な!!...」
「..........」
「何だよアキその目...」
「べ..別に...」
「ほらアキ行こ!どうせこの狼も後で会わなきゃいけないけど、今は着替え!」
「わっ!待って..!」
「おい!!」
アクトの制止も間に合わずタカミがアキの腕をひっぱりドアへと駆け出していた。
「..............ったく...何で何処行っても邪魔ばっかり....あぁ!クソッ!」
一人自室に置き去りにされたアクトの拳が壁を殴り虚しくガツッと音を響かせた。
うまくいかねぇ.....
晩餐会ね...どうでもいい...
苛立ちを抑えられないまま彼の足は普段城内で親しくしているシシタの元へと歩き出した。どうでもいいと言いつつもアキが夜会に出るなら
やはり放ってはおけない。
「タカミの奴...いつか殺してやる...」
To be continued....