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アンジェラス

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事の始まりは一枚の写真。

しとしと雨が降っている。子供は雨が降ると気圧の変化の所為かすこし微熱が出てる。
医者の説明によると天気が良すぎても身体に良くないそうだ。
色々なアレルギーがあるとかで食べ物も気をつけなきゃいけないがなんと言っても小食だ。
看護士さんの話によると半分も食べないそうだ。
それよりなにより怯えられてるんだよな…。同じ部屋にいるだけでも顔も見てくれない。
話しかけると布団にもぐりこまれるし…。
布団の上から軽くぽんぽんたたいて「またね。」と言って諦めて部屋を出る。
今日こそ話そうと思ってたのに…。
おれが引きとろうと思ってたんだがこうも嫌われてると難しい。
仕事もあるしとても世話できないのでこのまま病院に入院させるにしても人を頼むしかないか…。
ブライトに相談して…。溜息ついてると名を呼ばれた。

「アムロ。」
「ミライさん。何時ここに?」
「子供の入院に必要なものを持ってきたのよ。」と手にした荷物を軽く持ち上げる。
「すみません。お手数かけます。」
「いいのよ。でもあなたも入院中でしょう。うろうろしていていいの?」
「えーと…。もうすぐ退院します。」多分…。色々あって薬物中毒…まだ眩暈がする。
「後で行くから大人しく寝てなさい。」
「は い。」
口答えするだけ無駄なので大人しく部屋に戻る。背中でミライさんが病室のドアを開ける音を聞いた。
後で様子を教えてくれるだろう。

部屋に戻るとブライトがいた。思わず部屋から出ようとする。
「アムロ…。」呆れたような声にまた振り返る。出ても仕方ないよな。
「おまえは大人しく寝ていろと言われているだろ。顔色悪いぞ。」
「あの子の様子を見に行ったんだよ。顔も見れなかったけど。」
「また隠れたままか。」
「…そんなに怖いのかな。」
「お前は寝ていろ。」
「うん。あ、ブライトありがとう。」
「ん?」
「さっきミライさんにあったよ。」
「そうか。」
「後で来るって。」
「じゃミライが来てから話をしよう。」そう言われて枕に寄りかかる。
「ごめん。迷惑かけるね。」
「今更だ。気にするな。」
「で何時戻るの?」
「事故にあったと言うことで一週間の帰艦延期の許可は得ている。」
「一週間か…。」
「ここに居る間は大丈夫だろう。セイラたちもまた見舞いに来ると言っている。」
「大事だね。」
「仕方あるまい。しかしなんだって今頃こんなことに…。」
「ごめん。」
「気にするなら大人しくして早く治せ。」
「は い」ノックをしてミライさんが入ってきた。
「どうだ?」
「汗を拭いて着替えさせてきたわ。」
「すみません。おれがやろうと思ったんですが嫌われてて。」
「病人は大人しくしなさい。」ほらみろとばかりにブライトに見られる。
「それで医者は何て言っているの?」
「虐待のあとが見られると言うこととアレルギー反応が多種あると言う事は言われました。」
「そうね。上半身に色々な痕があったわ。惨いこと…。」
「頭の中を何度かいじられているらしくてその所為で成長が遅いんじゃないかと。遺伝子的にも問題がありそうだが詳しく調べないとはっきりしないそうです。」
「そうでしょうね…。」
「書類上は何年か前に破棄されたことになってるのは確認してます。」
「何かデータは残っていたの?」
「破壊する前にコピーは取りましたが見てません。」
「お前は見なくていい。セイラが引受けてくれる。」
「この病院も手を回してもらったのに。迷惑のかけ通しだな…。」
「お前の所為じゃない。」
そういって貰えるのは嬉しいがおれの所為だろう。

「この先どうしよう。おれが引き取ろうと思ってたんだけどこうも嫌われてると難しいか…。」
「どのみち上には連れて行けないぞ。体が持たない。」
「そうだね…。」溜息。

基地にはそれなりの施設があるから引き取ってもどうにかなるかと思ってたんだけど…それ以前の問題だな。想定外。
「何か話ましたか?」
「いえ。一言も話さなかったわ。」
「嫌と言われたので話せることは確かなんですが…。」
「専門家に任せるしかないだろう。」
「…丸投げ?」
「そうなるな。」
溜息。時間が無いのは確かだけどもう少し出来ることがあると思ってたんだけどなぁ。
 

その手紙が来たとき軍はなし崩しにエウーゴやカラバを解体・吸収しようとしていた。ティターンズが事実上崩壊した時点でエウーゴも求心力を失いアクシズ消滅後はあちこちで無秩序状態が続き連邦軍は体をなしてない状況に陥りつつあった。
そこで正規軍に復帰するものは罪を問わないという暗黙の了解の下部隊は再編成されつつあった。その話し合いに何度か同席を求められブライトと合う機会が増えていた。

「結局危険分子はそとに出ろって事か?」
「地上にいるより動きやすいぞ。」
「でも家族は残せというんだろ?」
「佐官はな。」
「体の良い人質じゃないか。」
「それで安心するなら安いものだろう。」
「そう言う問題か?」
「みな疲労している。安定した生活を求めるのは無理も無い。」
「軍に復帰するのは良いんだけど…。」

むしろ軍に復帰した方が色々便利に違いない。個人で探すのは無駄だろう。外にいていざというときの準備をしてる方が良い。
内部抗争が終われば平和になると思ってる連中の下に付くのは正直嫌だが好き嫌いを言っても仕方ない。どうせ役に立たないだろうし当てに出来ない。
それよりある程度の自由と後ろ盾が必要だ。復帰前の準備が色々。
その打ち合わせをしてる合間に爆発物ではないが不信な手紙が来てると連絡があって届けてもらったデータを見たら子供の写真が一枚。

「これはお前か?」応えに詰まる。
「うーん。まあそうだろな…。」部屋で分析するのにポケットに入れる。
「後で寄ってくれ。」と小声で頼む。

部屋に戻って拡大してみる。無表情な顔、襟から見える包帯、髪の生え際に見える傷。眼の部分を拡大すると何か書いてある。緯度と経度かな。ここに来いということか…。
ここからそんなに離れてないな。
インターフォンがなってドアを開けると滑り込むように入ってきた。
「どうした?」
「さっきの写真なんだけど…。」拡大したのを見せる。
「ここに数字が入ってるんだ。緯度と経度じゃないかと思う。」
「どういう意味だ?」
「この映像はおれじゃない。多分おれのクローンだ。」
「クローンは全部処分されたんじゃなかったのか?」
「書類上はそうなってる。」
どういう処分のされ方をしたかは調べたくないしあれは思い出したく無い。
「誰かがどさくさにまぎれて持ち出したか…。」
「NT研究所はあちこち縮小されたから。」
いくらおれのクローンを作って研究してもあまり成果が無かったから予算削られたしなんと言ってもばれると問題になるから早々に処分されたようだった。
あれだけやっても成果が出なかったのなら無理も無い。まさにばらばらにしてた…。思い出したく無いので思考停止。

「顔色悪いぞ。」
「ちょっと思い出した…。」眉をひそめる。
「誰かに話したほうが良いんじゃないか。口にすると軽くなると言うぞ。」
「ありがとう。でも必要ないよ。」誰にも話したくない。話す為に思い出すのがまだまだ無理。ブライトは溜息ついて
作品名:アンジェラス 作家名:ぼの