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アンジェラス

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「最近聞いたんだよ。母親がなくなっておれに引き取らないかと言って来た。今回の件はそれでもめたんだ。」
「それで子供は何処に。」
「この病院で治療中。色々問題があるみたいで。体が弱いんだ。」
「どの部屋にいるよ。」
「202。」聞くなり飛び出してしまった。慌てて追いかけるけどとても追いつけない。部屋に入ると子供を抱きしめてる。子供は戸惑ってるようにこちらを見て直ぐ目を逸らした。
「母さん。落ち着いて。」少し離れて
「よく似てるわね。何て名前?」とこっちを見る。う…。名前ですか?あー考えてなかった…。
「えーと…。」表になんて書いてあったっけ。そこのカルテのも。A・Rだけ?おーい。
「えーと。アムロ…。」
「アムロ?」
「うん。」
「そう。アムロなの。」につこりと笑いかけるとおずおずとぎこちなく微笑む。
「幾つなの?」たしか「7歳かな。」
「小さいわね。」
「あのー。驚いてるよ。」
「あら。ごめんなさい。わたしはあなたの御祖母さんになるのよ。」首を傾げてる。
「かあさん。その子にはカウンセラーが付いてるんだ。専門家と相談した方がいい。」
「そうなの?じゃその人に合わせて頂戴。」
「セイラさんが知ってるから相談しよう。」とにかく出ようと促す。
「また来るわね。」と頭を撫でた。

セイラさんも交えて相談して母さんが部屋に行ってもいい事になったがおれは怖がられてるから駄目。
「お母様に一番懐いているわ。」
「何か話しましたか?」
「それはまだ。時間かかりそうよ。」
「おれはそんなに時間無いんですが…。」
「諦めて置いていくしかないわね。大丈夫。みんな力になるわよ。」
「すみません。こんなことになるとは思ってもいなかったんです。」
さすがに休暇は伸ばせない。ついでにいろんな手続き終わらせましょうねと山のように書類用意してくれてたくさんサインさせられた。よく短期間に用意したもんだ…。籍も母の養子にしたほうが良いと言われたときには迷ったが認知した上の話だからと納得した。他にもお金のこととか色々で中身も良く見ないで書きまくったので
「この中に婚姻届けいれておいてもわからないわね。」と言われる。
「相手が居ません…。」
「冗談はさておき、お母様に懐いてくれただけ希望が持てるわ。最近は笑うようになったし。」
「おれは相変わらず怯えられてます…。」
なんだか情けない。母は子供に夢中で文句言われないだけ助かる。
「このまま任せていかなきゃいけないのはものすごく心苦しいんです。」
「諦め悪いわね。お母様は喜んでいるんだから良いじゃない。」
「でも普通の子よりずつと手がかかるのに。」
「あなたには余計無理よ。」そうだけど…。納得できない。
「親孝行だと思って任せなさい。お母様は子供を見たときに他の事は全部どうでも良くなったとおっしゃってたわ。」
親孝行。

「そうですか?」
「そうよ。」

出発する日に大きなハロを子供に手渡した。

「おれの慰めになったようにハロがお前の友達になるように…。」
もう会うこともないかもしれないと思ったので怯えられたけど額にキスして別れた。

せめて祈りをこめて。
作品名:アンジェラス 作家名:ぼの