隠れ鬼
清正は、幼いころから誰かが出て行ったり離れ離れになったりすることを極端に嫌っていた。三成が大学に通うようになり施設を出ると決まった時もごねにごねて徒歩圏内以外は赦さないと豪語したほどだ。
「お前の目は節穴か?」
腕の中で身を捩って三成もぎゅうと抱きしめてやるとやっと安心したように息が漏れた。
「……」
わかった、と頷いて漸く離れて勝手知ったる足取りでバスルームに向かう清正の背を、三成は腕組みしたまま溜息をついて見送った。
この見た目以上に甘ったれな性格をいったいどうやったら治せるのかと…今度左近にでも聞いてみようと思った。