すきのりゆう
何でも出来るから。裏切らないから。苦労しなくて済むから。あればあっただけ困らないから。だけれども、団蔵を好きな理由は、一つも思い付かない。そしてそれで良いやときり丸は思っている。だってそんな理由を頑張って思い付いてみたところで、あの馬鹿旦那に言ってやる気なんてさらさら無いのだから。最低限の言葉は口にした。だから、残りの言葉は行動で察して貰いたい。それが恋愛におけるフェアってものだろう。
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「―ところできり丸さん」
「ん?」
「降りてくれませんか・・・」
「やだ」
「襲っちゃいそうなんですが・・・」
「やだ」
「・・・」
団蔵の苦悩の日々は続く。