俺の家族を紹介・・・すんのか!?
鏡の前で、バーナビーはくるりと振り向いた。
身なりには常に気を使っているつもりだ。けれどもより入念に、服装をチェックして支度を整える。
非常時にはもちろん出動するが一応今日はオフ日で、この後の相棒との待ち合わせも純粋にプライベートだ。
『あーもう紹介するよ!すりゃいいんでしょ!!?』
先日この部屋で久し振りに色々した後、隠しゴトを洗いざらい白状して絶対手ェ出すなよ!!と気炎を吐いた相手の表情を思い出し、ひとりほくそ笑む。
バーナビーはともかく自分の正体まで芋蔓式にバレると困る、とのことで変装スタイルなのは仕方ない反面、ファンだという娘に『ヒーローのバーナビー』を会わせたくない、という姑息な父心もひしひしと感じる。
(・・・甘いですよ、オジサン。)
少女の好む甘い態度とやわらかい言葉。いっそ嫉妬されるくらい紳士的に、今日は彼女に好かれるように振る舞おう。
将を射んとすればまず馬を。自分にとっては大事な局面だ。
バーナビーはひときわ女性にウケの良い角度で、にっこりと鏡に笑顔を向けた。
作品名:俺の家族を紹介・・・すんのか!? 作家名:謎野うさぎ