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ネウロ関係ショートショートショート

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 私は頷いたけれど、本当はもう少し待っていてほしかった。だって、記憶に引っかかる言葉が私を誉めたような気がしたんだ。あいつにはそんなつもりなかったのかもしれないけど。

 彼と彼女のために。彼を消去したくなかった私自身のために。そのほかにもいろいろなことが悔やまれて、涙はまだ止まらない。ぐしゃぐしゃのままであいつの背中について歩いていて、気づいた。この涙が許されていることは不思議なことなんじゃないだろうか?
「あれ?」
 そうだそういえばあいつさっき『ならばいい』とか言った。人間の感情の機微とかそういうものを理解しないあいつが。感情の塊でしかなかった私の言葉に対して。
「どうした、ヤコ」
「…別に…ただ、あんたやっぱ変な奴だなと思って」
 理解できないものを許容するということはそんなにすんなりと実行できるものだろうか。こいつは感情を、拒絶もせず軽蔑もせず、だからといって必要以上に重んじているわけでもなくただ認めている。そういう態度に見える。
 一見俺様キャラなくせに、物分かりがいいというかなんというか。
 てゆーかまあ『謎』のためなんだろうけど。などと考えていたら有無を言わせぬスピードで伸びた黒い手が私の頭を捕まえた。
「あ、ごめんなさい。嘘です。いや嘘っていうか、悪気はないっていうか!」
 魔人はにこやかに掌の力を強めて私の頭を引き寄せたかと思ったら笑顔をひっこめて。
「ほう。涙は止まったようだな」
 と一言言って、私の頭を放り出して歩きだした。
「………」
 私は止まった涙を拭って、掴まれた髪を直して、そして考えた。
 今の言葉に優しさを感じるのは間違っている。あいつは事実を確認して言葉にしただけだ。他意はないはずだ。
 だから、ここは、赤面する場面なんかじゃないんだぞ、弥子!