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黒禍転じて悪夢と成す___テスト投稿

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 よく誤解される。
松永からの強い執着に対し、彼女がしぶしぶ答えている_____それが彼と彼女の関係なのだと。
 そんなはずが無いではないか。だとしたら彼が彼女にここまでの弱さを見せる筈が無い。お互い同等の感情があってこそ、はじめて信頼という関係性が成り立つのだ。彼が“彼女にのみ”自分の弱さを見せる理由は、彼女が松永と同じくらいの執着を彼に対して持っており、かつ、彼を傷つけたくはないと考えているからだ。自分のものだと分かっていてモノを傷つけたり壊すようなことは、彼女はしない。そこまで考えて、ようやく彼女は目の前のソレの名前を思い出した。

「帰れよ、“黒禍”。どこへなりとも飛んで行け。別のヤツを探すんだな」
『・・・ふふ、最近の人間は根が無いのじゃ。わらわが憑いた人間は、すぐにわらわのモノになってしまう。そして、死ぬ。この男のようにわらわを楽しませてくれる人間なぞ、なかなかいなくてのう。また来るぞ』
「来るな」

その言葉に返事は無かった。彼女が瞬きしている間に、ソレはかき消えていた。

「う・・・うう・・・あ・・・卿か・・・アレを・・・追い払ったのは」
またうめき声を上げて、彼が目を覚ました。疲れた顔をしてこちらを見る。そうすると年相応に見えた。彼女は彼を壊さないようにそっと抱きしめる。
「寝てな。土曜日だ、ゆっくり休みなよ。・・・朝ご飯作り終わったら、起こすからさ」
「・・・ありがとう」
そう言って彼はまた寝てしまった。彼女は少しためいきをついてベッドから出る。
いつのまにやらもう六時だ。まるで夢だな、そう思った。



『卿には私の心身を賜ろうか』
『いらん、自分で奪う』

彼と彼女の間にあるのは、お互いに対する強い執着。
はたしてこれは愛なのだろうか、と彼女はひっそりと考えた。