空と太陽を君に
「シンの執念深さには参る」
「何だよ、それ」
「…約束、シン」
差し出した小指と小指を絡めて、握り締めた。
漸く、一つに繋がった…。
***
お前はあの日のことを何も言わなかった。
なぜと、訊かなかった。
そうしてまた、シンの優しさに甘えて口を閉ざす。
自分で分かっていた。
だから、俺はもう何も言うつもりもない。
糾弾されれば楽になれるのだろう。詰られれば、開放されるのかもしれない。
けれど、欲しいのは安息ではなく、自分自身の限られた命、限られた時間で過ごすシンとの温かな時間だった。
だから、言わない。
あの時、何を思い、誰を思い、どうしたのかを。
***
二人にはそう長くない時間しか遺されていないかもしれない。
議長がくれたロスタイム。
だからレイには空もあげる。
太陽もあげる。全部、あげる。
この世界の美しいもの、全てを。
だから、もう少しだけ。
一分でもいい。
一秒でもいい。
一瞬でも永く、傍に…。
それが叶えば、一緒にいこう。
一人にするのもされるのも、とても辛い。
だから、レイ。
きっと今度は俺を選んで…。
END