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「そんなことありません！　先輩は優しくて、頼りがいがあって、今だって私のこと助けてくださいました！　私、先輩はとても素敵なかただと思います！」
「えっ？　あ、ああ……」
　思いも寄らぬ桜の強弁に、士郎の目が点になる。
　桜は我に返ったようにはっと目を見開き、
「えっと、その、す、すいません！」
「いや、何と言うか、ありがとう……」
　互いに視線を逸らし、もごもごと口籠る。
　よく一誠や美綴などから朴念仁とからかわれる士郎であったが、流石に今のやりとりには気恥ずかしさを覚えずにいられない。それでなくとも、ここ最近妙に大人びてきた桜の様子にどぎまぎしっぱなしだというのに。
　得も言われぬ気まずい空気が、二人の間に漂う。
　互いに次の言葉を探しあぐね、目を泳がせる士郎と桜。と――
「やあ衛宮。ちょうどいいところにいた」
　彷徨わせた視線の先、ねっとりと絡みつくような笑みを浮かべながら、間桐慎二がそこにいた。