娘娘カーニバル! 序章~翔(2)~
桃花の走る先には帽子をかぶった金色の髪を持つ少女が烏丸の剣の餌食になろうとしていた。
桃花は金髪の少女を抱きしめ烏丸へと背を向けた。あきらかに少女を庇って自分が切られる気だ。
「桃花!」(間に合え!)
劉備ガンダムは背中の龍帝剣を抜きそのまま烏丸の兵へと切りかかった。
「うぎゃ!」
切り結ぶこともなく一刀で烏丸を倒した劉備ガンダムは背後へと振り返る。
「大丈夫か、桃花!それと…帽子の子!」
恐々と面を上げる桃花と帽子の少女に劉備ガンダムは胸をなでおろした。どうやら怪我はない様だ。
油断なく剣を烏丸の兵へと向けながらも劉備ガンダムは二人を安心させるために笑いかけた。
「安心しろ。俺が絶対に守ってみせる」
「劉ちゃん…」
不安げに瞳を揺らす桃花、そんな彼女は見たくない。
『お願いです。力をお貸しください』
頭に響いた声の主はきっと今の桃花と同じような顔をしているに違いない。
俺が来たからにはそんな顔をさせたくない。桃花にも、謎の声の女性にも。
(桃花は笑ってる方が良い。俺が桃花の笑顔を守る)
決意を胸に龍帝剣を構え直した劉備ガンダムの腕輪が光輝いた。
腕輪の金の光は次第に広がっていき、劉備ガンダムを包み込む。
「きゃあ!」
「これは一体…?」
「姉上!朱里!」
黒い烏丸と桃花たちが騒然とする中、光が収まっていく。
「俺の名は劉備!劉備ガンダム!お前たちにこの人たちを傷つけさせはしない!」
光が溢れた場所には黒髪の金色の瞳の少女は居なくなっていた。
そこに居たのは龍帝剣を携える一体の武者ガンダムだった。
次回「劉備ガンダム、超雲ガンダムとともに真名をもらう」
黒い烏丸と対峙する劉備ガンダムは闘いの中で超雲ガンダムと再会する。
そして義勇軍自分たちの世界を話し、ともに元の世界に戻るために旅をする。仲間となった証に真名をもらって。
作品名:娘娘カーニバル! 序章~翔(2)~ 作家名:ソラ