永遠に失われしもの第5章
グレルはシエルの使う客間に入って
凍りついた。
「・・・」
グレルの視線は乱れた寝台の
その一点の赤い染みに集まっていた。
「ヤッパリ常識的に考えて・・
ここはセバスちゃんの城。
そこにガキを連れ込んで。
んで、ここに、この染み・・・
・・・・・
イヤだ~ィヤ~いや~嫌!!!!
セバスちゃん、あんなガキ相手に
そんな事や、あんな事するなんてェ・・
人でなし!鬼!悪魔!!
ま~・・
セバスちゃんは元から悪魔だけどサ」
グレルは寝台に向かって
チェーンソーを振り回し、
羽枕が切り裂かれて、
辺り一面に、白い羽が舞った。
「アタシの心の奥深くに
燃えあがるコノ黒い嫉妬の炎・・
あのガキ!
アタシのセバスちゃんのまろび出る愛を
その小さな体で受けとめたなんてッ
許せナイヮ
アンタさえいなければ・・・」
さらにデスサイズを振り回して、
寝台の天蓋を叩き割り、
深緑のベルベットのカーテンが
切り裂かれる。
「こうなったら・・・
あのガキ、狩るしかないわネ・・」
紅い髪をたなびかせ、
グレルはチェーンソーを肩に背負った。
「きっと、ソンナ事したら
アナタは全力で主を守るんだろうケド
でもセバスちゃん、
どうせアナタはあのガキの魂なんて
もう食べれないんだし。
もう自由になったって
いいンじゃナイ?」
グレルは真紅のコートを翻し、
チェーンソーで空間を切り裂くと、
そこに飛び込んだ。
作品名:永遠に失われしもの第5章 作家名:くろ