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だぶるおー 本編後せつらい

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機体共々、組織に無事に回収されて、そのまま医療ポッドに放り込まれた。まあ、ギリギリまでやっちまったので仕方がない。何日かして、治癒して開放されたら、刹那は、まだポッドに収まったままだった。

・・・・こいつも生きてやがったか・・・・・

 ほっとして、医療スタッフから、簡単な検査をされて開放された。組織のドックに逃げ込んでいたらしく、ここにはカタロンと遜色ないほどの人間がいた。実働部隊は少数精鋭だが、そのバックアップというのは、相当な力があるらしい。すでに、トレミーの修理は開始されていたが、MSのほうは、まだまだであるらしく、そのために帰港したドックで、実働部隊も待機しているとのことだ。
「イノベイドの脅威はなくなったから、一度、組織は再編制されることになったの。組織を離れたいと考える人もいるので、そちらは、地上へ降ろすことになると思うわ。」
 戦術予報士は、そう言って、最終戦の後の状況については説明してくれた。マイスターは欠けることはなかったものの、ティエリアだけは肉体を失っていた。
「肉体ごときで悲しむ必要はない。」
 だが、当人はサバサバしたもので、映像として自身の姿をパネルに写している。人間ではなかったのは驚かないが、ヴェーダに取り込まれて、そちらで存在しているというのが、不思議な気分だ。
「けど、いろいろと不自由じゃないのか? 」
「そのうち、そこは考えるさ。刹那のほうは心配ない。かなりの怪我だが、命には別状はないからな。・・・・ところで、きみはどうするつもりだ? ライル・ディランディ。」
「なんのことだ? 」
「きみは兄の敵を討った。こちらより、カタロンへ戻るほうが良いのではないのか? 」
「それは、マイスター失格だから降りろっていう、ヴェーダからの命令か? ティエリア。」
「そうじゃない。・・・刹那と共に戦うより、離れているほうが得策ではないか、と、俺は考えるだけだ。」
「アニュを殺したからか? 」
 殺されそうになっていた俺を救うために、刹那は、アニュを撃った。彼女は、俺の恋人だった。戦う理由がないし戦えない相手だと、刹那にも言われていたことだ。だから、刹那は俺の代わりに殺したに過ぎない。
「結果として、きみは救われたわけだが、感情的に許されるとは思えない。」
 もちろん、一度は銃を向けた。だが、撃てなかった。ティエリアが言うのは、そういう複雑な関係で共に戦うのは不安だろう? ということだった。
「・・・・少し・・・考えさせてくれ・・・」
 即答は避けた。その気持ちは、今もあるが、そうでない気持ちもある。どちらも、今は同じ比重の上に成り立っている。
「慌てることはない。きみのマイスターとしての登録は、まだ、そのままだ。」
 正式に組織を離れると決断したら、その登録は解除する、と、申し渡された。世界と向き合うことは決めていた。だが、その場所は、ひとつではない。カタロンでも、それは可能だからだ。
「けどよ、ティエリア。俺が一般人に戻るのは無理じゃないか? 特技、ガンダムマイスターってのは履歴書に書けねぇーよ。」
「当たり前だ。きみは守秘義務というのを軽んじすぎだ。そういうことになったら、こちらで適当な履歴を用意してやる。・・・・俺としては、ニール・ディランディが、きみに望んだようにして欲しいと希望している。」
「兄さん? 何か言ってたのか? 」
 ティエリアは、兄と何かしら関係があったらしく、俺のことも知ってはいた。実際に逢ったのは、刹那が勧誘してからだが、「似ているとは聞いていたが、似すぎていて驚いた。」 と、漏らしたからだ。
「・・・きみの兄は、きみに戦いとは関係のない世界で生きることを望んでいた。そのために、あの人は暴走したんだ。」
「もう遅いだろ? 」
「確かに、そうだが、これからの選択は自由だ。」
「つまり、あんたは、俺に何事もなかったようにサラリーマンでもやってろ、と、言いたいのか? 」
「有体に言えば、そうなる。」
「それは無理だ。もう知っちまったからな。だから、その選択肢は、今から外しておいてくれ。輝かしい履歴書の作文は、しなくていいぜ。」
 もし、刹那がアニュを撃たなかったら、いや、俺がカタロンにいなかったら、兄の敵を討たなかったら、その選択肢は存在したかもしれない。だが、それは無理な相談だ。情報統制された平和な世界の外側を知ってしまったら、そこには戻れない。

・・・・楽園を追放されたってことだな・・・・・

 そう自嘲して、ティエリアに向き合ったら、相手も鼻で笑っていた。それは無理なことだと、相手も判っていて、それでも兄が希望した未来を提示してくれたに過ぎない。
「それは残念だ。俺が完璧なきみの履歴書なるものを作れば、どこの企業でも働けたというのに。」
「いつかさ、ここで活動できなくなったら、頼むわ。それまでに考えておいてくれ。」
「了解した。」
 ティエリアも頷いて通信を切った。まるで生きているようなティエリアの画像がなくなると、通信室も静かなものだ。
 アッシュトレイを取り出して、たばこに火をつけた。艦内禁煙ではあるが、こっそりと吸う場所には事欠かない。ふいっと紫煙を吐き出して、そこへずるずると座り込む。
・・・・・憎い訳じゃない。いや、憎いのかな。でも、離れてしまいたいとは思えないんだよな・・・・・
 人の恋人を撃ち殺して、俺の八つ当たりめいた暴力も黙って受けた男は、そのまま泣き崩れてグタグダだった俺を、自室へ引き摺っていって抱いた。無理矢理ではなくて、俺は、その体温を感じて、そこに縋りついた。相手が誰だかわかっていて、それでも抵抗できなかった。元々、男とやることもあったから、驚くことはなかったが、その男が、そういう芸当ができたのが、不思議だった。とても優しく、宥めるように、俺を抱いた。訳がわからなくて喚き散らす俺を、それこそ、癒すように。
 事後の気だるい空気の中で、その男は、俺のタバコを悪戯に口にして、「まずい。」 と、吐き出した。
「・・・・当たり前だ。お子様が吸うもんじゃねぇーよ、バカ。」
「俺に抱かれてよがってたくせに、俺を子ども扱いするのか? 」
「・・・・うるせぇー。・・・・」
 戦闘の後で高ぶっていた神経は、抱かれることでクールダウンした。疲れて泣きつかれてグダグダで、俺は、ほっと息を吐いた。あのままなら、殺されていたのは俺のほうで、操られていた彼女は取り戻すことなんてできなかった。

・・・・わかってる・・・わかってるんだ・・・・ああするしか・・・

 俺が助かるには、刹那が撃つしかなかったことは理解しているのだ。ただ、感情がついていかないだけで、ひどい八つ当たりをした。
「・・・・ケガ・・・大丈夫か?・・・」
「素手で殴られたぐらいで、ケガはしない。打撲だけだ。」
「・・・あんたが、男を抱けるとは思わなかった・・・・」
「四年程、世界を放浪していた。その時に、そういう知識も身についた。」
「・・・誰かに抱かれた?・・・」
「ああ。」
「その人は? 」
「行きずりだったから顔も覚えていない。だが、いい経験だったと思う。おまえに使えたからな。・・・そろそろ、休め。俺は戻る。」