二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

だぶるおー 本編後せつらい

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

 薄暗い照明の中で、刹那の背中が見えた。そこには、無数の傷があって、何年も戦いの中にいることを証明していた。さくさくと着替えて、それから刹那は声を発した。
「・・・・ライル・ディランディ・・」
「んー? 」
「イノベーターを全て駆逐したら、俺を殺してもいい。それまで、少し時間をくれ。」
「・・・・・・・」
「世界の歪みを生じさせた俺の責任をとったら、おまえの好きにさせてやる。それまでガンダムマイスターのロックオン・ストラトスとして共に戦って欲しい。・・・・憎いと思うだろうが、引き金は、それまで待ってくれるか? 」
「・・・刹那・・・・」
「ここで殺されてやることはできない。すまないが・・・・時間をくれ。おまえには、その権利がある。家族を亡くす原因となったことも、おまえの兄を助けられなかったのも、そして、おまえの恋人の命を奪ったのも、・・・俺だ。」
 もし、なんてものは存在しない。ただ、刹那は、そこにいた。それだけだ。そこに、刹那しかいなかった。それを責任だと言うのは間違っているだろう。だが、そう諭してやることはできなかった。
「・・・わかった・・・」
「ありがとう、感謝する。」
 戦って戦って、失っていくものが多いことを、あの俺より若い刹那は知っている。だが、その戦いでしかもぎ取れないことも知っている。たった一人で、それを受け止める覚悟をしている刹那のことを考えて、また泣けて、俺は何も言えなかった。
 その選択しか残っていない極限の状態に、いつも刹那は存在しているのだ。どれほど、やりたくない、と、願っても、そうしなければならない状態というのは、今の俺なんかより酷いだろう。

・・・・おまえのほうが、泣きたくないか?・・・・

 そんなことを考えて、そのまま眠った。泣きたくても泣いていられない状況で、それを見せない刹那は強いとは思う。だが、強くても、グダグダになりたい時だってあるだろう。

・・・・なあ、アニュー、俺、解り合いたいよ・・・・

 アニューと解り合えたように、刹那とも、そうなりたいと、その夢の中で思った。だが、現実は、そうもいかなくて、そのまま激しい戦闘に突入した。個人的なことなんて考える暇もない状態で、イノベーターを叩き潰すことに専念して、ようやく、今がある。





 何日かして、刹那も再生治療を終えて目を覚ました。それまで、日に何度か見舞っていた俺は、どうするのか迷っていた。
「ここだったんだね、ロックオン。」
 アレルヤが、その見舞っている俺のところへ顔を出した。こいつは、俺より先に再生治療を終えていた。
「アレルヤか。どうかしたのか? 」
「うん、僕らは、一度、地上に降りようと思うんだ。きみは、どうするつもりなのかと思って。」
「え? 」
 アレルヤは降りないだろうと思っていた。だが、一度、変革した世界を歩いてみたいと思ったのだと言う。世界と向き合うつもりはしている。ただ、アレルヤは実際の世界というものに触れたことがなかったから、マリーと共に、それをやりたいと考えたらしい。
「もちろん、定時連絡は入れるつもりだし、呼び出されれば戻って来るつもりだけどね。」
 だから、ロックオンはどうするのかな? と、ふと思いついたのだと言われて
苦笑した。世界に触れていたのは、俺のほうだ。
「まだ考えてる。とりあえず、一端、地上に降りて、いろいろとやるべきことはやってくるつもりだけど、そのまま戻るかどうかはわかんねぇーな。」
「そう、できたら戻ってきて欲しいな。僕らが降りちゃったら、刹那は一人になっちゃうから・・・フォローしてもらえると嬉しいんだけど。」
「・・・うん・・・」
「あっあのね、刹那はさ。あの時・・・」
「うん、それはわかってる。恨んでなんかいないよ。」
「それならいいんだ。・・・・そろそろ目を覚ますかな? 」
 医療ポッドを覗き込んで、アレルヤは刹那に笑いかける。一緒に第三世代のマイスターとして戦ってきた刹那を知っているアレルヤは、それなりに刹那のことも心配しているのだろう。
「こいつってさ。昔から、こんなだったのか? 」
「こんなって? 」
「無駄に男前っていうか、迷わないっていうか・・・・そういうとこ。最初の武力介入の時なんて、こいつ、十六だったんだろ? その時も、こんなだったのか?」
 うーん、と、しばらく、アレルヤは中空の一点を睨んで、それから、うふふっと笑った。
「概ねは変ってないけど、最初は違ってたかな。・・・えーっと、きみのお兄さんがね、教育係兼世話係をしてたんだけど、最初は野生の獣みたいだったな。僕らも、そういう意味では、そうだったし・・・・ほんと、お兄さんには謝りたいよ。そんなのばっかりのマイスターたちを纏めてたんだからさ。・・・刹那も最初は反抗してたけど、ちゃんと言うことは聞くようになった。元々、刹那は、今みたいだったけど強さは増したと思う。諦めなくなった。というか、しぶとくなったかな。」
「兄さんが教育した? 」
「教育っていうより、僕らの緩衝材とか繋ぎ目っていうか、そういうものだったと思う。・・・・それが受けられなくなったから、刹那は、それもこなしているんだと思う。最初の武力介入の時なんてさ。僕ら、いつもティエリアから銃を向けられてたほど、仲が悪かったんだよ。」
「兄さんも? 」
「ううん、お兄さんは止めるほう。僕らや刹那が命令無視して、ティエリアに銃を向けられたら庇ってくれてた。今のティエリアから、想像できないくらい怖かったからね。」
「ティエリアと兄さんって、デキてたとか?」
「そういうんじゃない。ティエリアにとって、お兄さんは人間としての見本みたいなものだと思う。平等に接してくれてたよ。・・ああ、付け足しておくけど、僕らも刹那も、そういう関係になってる人は皆無だからね。あくまで、リーダーとしてってことだから。まあ、刹那が一番小さかったし、教育係とかさせられてたから、繋がりは深いとは思う。」
 なんだって、うちの兄は、こう評判がいいのだろう。小さい頃から、人当たりが良くて俺は比べられるのが辛かった。まだ、ここでも、そういうことがあるのかと、項垂れる。

・・・・死んだくせに・・・・

「でも、ライルは参謀って感じだよね。刹那の意見を肯定したり、反論したり、ちゃんと第三者の目でみてくれたから、刹那は楽だったんじゃないかな。」
「え? 」
「見た目は同じだけど、全然違うからさ。僕らも最初は戸惑ったけど、ちゃんとすんなり溶け込んでくれたから嬉しかった。」
「溶け込んでたか? 俺。」
「あははは・・・だって、みんな、きみのことを、『ロックオン』って呼んでるだろ? 」
「ああ、うん。」
「名前を呼べるのは、そういうことだと思う。」
「俺、一応、カタロンのスパイなんだけど? 」
「スパイの割に、刹那とかティエリアを庇ってたよね? あれ、スパイならやらないでしょ? 」
「・・・う・・・・」
「ロックオンが、どういう決断をしても、僕らにとって、きみは『ロックオン』だから。それだけは間違いないよ。」
「あ、うん。」