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娘娘カーニバル!第1章

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伝わって来る体温がまるで「触れてもいいんだよ」といってくれているかのように錯覚してしまう。
(俺は、この手を握ってもいいのか?あの子たちの笑顔と向き合っていいのか?)
自問自答し、微動だにしない劉備ガンダムに桃花が首を傾げた。
「劉ちゃん?どうかしたの」
「あっ、いや、なんでもない。どういたしまして」
今度は力加減を間違えないようにと慎重に桃花を立ち上がらせる。
だが、武者ガンダムの体と桃花と同じ形の体では力が全く違うらしい。引く力が強く、桃花が大きく前にこけた。
「「「「あっ」」」」
「きゃあ!」
「オブッ!」
とっさに腕を伸ばして助けようと3人と一体が近寄るが時はすでに遅かった。
桃花は劉備ガンダムの上へ倒れ込み、地面へと押し倒す。そして桃花の胸は劉備ガンダムを窒息させんばかりに押しつけられる。
「桃花お姉ちゃんはやっぱりドジなのだ〜」
一人だけけたけたと笑う鈴鈴を余所に3人と一体は溜息を吐きだす。
「だれが胸を押しつけることを期待しているのだ」
「姉上、早くどいてあげてください…。なるべく早く…」
あきれ果てる星と愛紗だが、超雲ガンダムは主君と桃色の女性の異変に眉をしかめた。
じたばたと暴れる主君の行動は息苦しさと理由を付けられる。
しかし、女性の頬が赤くなっていくのは不自然だ。それには愛紗も気付いたらしく頬を引きつらせていく。
超雲ガンダムは帽子をかぶった少女の後ろに回りそっと耳を塞いだ。そのまま回れ右をさせる。愛紗も鈴鈴に同じことをさせた。
「な、何なんですか?何かあったんですか?」
「愛紗!何をするのだ!」
「「子どもは知らないほうがいい…」」
冷や汗を垂らしながら子どもの情操教育を心配する一人と一体を余所に星は楽しげに瞳を細める。
「あの劉備ガンダムというやつ、なかなかおいしい状況に持ち込んだな」
「いやっ、劉、ちゃん。そんな、話そうと、しないで。あぁん、だ、め?」
「フガガブハフッガッフ(そんなこと言ったって)」
劉備ガンダムは息苦しさに状況を更に悪化させていく。それに気付いた愛紗はにやにや笑う星を怒鳴りつけた。
「星!姉上をあのガンダムとかいうのから引き離して来い!」
「ちっ、これからもっと面白くなりそうだというのに」
「私からもお願いします。あのままでは劉備さんが窒息死しそうなので」
「そうだぞ。このままでは姉上が人殺しに!!」
しばらく腕を組み考え込んでいた星だがゆっくりと溜息をついた。
「たしかに。このままでは桃花が
『豊かな胸で謎の生命体を窒息死!やはりあの胸は伊達じゃない!!恐るべし由緒ある血統の巨乳』と噂されてしまうな」
しょうがないとぼやきながら星は桃花を劉備ガンダムから引き離しにかかった。
ようやく動き出した星に愛紗と超雲ガンダムはそっと安堵の息を吐きだし、抑えていた耳から手を放す。
途端に超雲ガンダムは愛紗へと向き直り頭を下げた。
「我が主君があなたのお仲間にとんだ失礼を」
丁寧に接してくる超雲ガンダムに愛紗は慌てて頭を下げ返す。
「いや、私の姉こそ助けていただいたのに命を奪いかけてしまって」
「先に無礼を働いたのはこちらですので頭を上げてください」
「しかし」
ちらりと劉備ガンダムを見遣れば、思いのほか元気に桃花に謝っている。
「本当に桃花ごめん!俺わざとじゃないんだ」
「そんな劉ちゃんがわざとするなんて思ってないよ」
二人の間で解決している問題を外野がとやかく言い続けるのも変な気がして愛紗は面を上げた。
「おーい超雲!桃花がお前にも礼を言いたいって!」
「愛紗ちゃん!劉ちゃんが聞きたいことがあるって」
手を振って招く主君と義姉に謝り合っていた超雲ガンダムと愛紗は小さく噴き出した。
「参りましょうか?」
「そうだな。私も劉備殿には礼を言わなくてはならないしな」
親しげに話しながら劉備ガンダムたちに近づいていく愛紗と超雲ガンダムを小さな影が見送る。
「鈴鈴ちゃん」
「なんなのだ、朱里」
「私たち蚊帳の外ですね」
「鈴鈴たちは外に居るのだ」
「そう言う意味ではなくってですね、会話に入れていませんねって意味で言ったんですけど」
「そうなのだ!鈴鈴たちはあの変な背の低い動く人形にお礼を言ってないのだ!」
「そっちなんですね。それよりもガンダムって何か気になりませんか?」
「確かにきになるのだ」
悩み始める朱里と鈴鈴は話に入ることもできずに和やかに談笑を始める劉備ガンダムたちを眺めていた。
だが、急に劉備ガンダムの腕輪が金色に光り始める。
それと同じように超雲ガンダムの腕輪も輝きを放つ。
金の光は劉備ガンダムと超雲ガンダムを包み込み、さらに輝きを増す。一行がその眩しさのあまり目を瞑る。
眩しさが収まり、次に目を開けた時には武者ガンダムの姿はなかった。
居たのは二人の女性だ。
一人は黒髪を一つにまとめ上げ、金色の瞳を瞬かせている。
健康的な肌は瑞々しく、服から覗く手足は駿馬のようにしなやかだ。
青と白を基調とした短めのワンピースにスパッツを穿いており、快活そうな印象を受ける。桃花と同じくらいか少し幼いかの少女だ。
もう一人は胡桃色の髪を襟足だけ伸ばし、若草色の瞳で己の手を見詰めていた。
背はすらりと高く、程よく引き締まった体。
真面目そうな顔に似合った落ち着いた紺色のジャケットを白いシャツの上から羽織り、紺色のズボンを身に纏っている。
歳は星と同じくらいの女性だ。
状況を呑みこめないでいる一行に義勇軍の軍師が歩み寄った。
「どういうことか説明をお願いします。劉備ガンダムさん、超雲ガンダムさん」
少女と女性は互いに顔を見合わせるしかできなかった。
作品名:娘娘カーニバル!第1章 作家名:ソラ