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娘娘カーニバル! 第1章(後編)

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「まあ、黒い三頭身の鋼鉄の人形に襲われたんですか?」
ことん、と人数分の茶器を机に並べ黄忠は席へと座った。
早速、張飛は中央に置かれたまんじゅうを両手に取り、せわしく口を動かし始める。
その間にも劉備ガンダムは手の届かない璃々にまんじゅうを手渡し友好を深めていた。
「お姉ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。名前はなんていうんだ?」
「璃々っていうの!お姉ちゃんにもおかあさんが作ったおまんじゅうあげるね」
一口大にちぎったまんじゅうを小さな口で冷ましてからくれる璃々に劉備ガンダムはにっこりと笑いかける。
「ありがとな。璃々は偉いし、優しいな」
「えへへ!」
和やかに会話を続ける劉備ガンダムを余所に新しいまんじゅうをがしりと掴み、張飛はかぶりつく。
「もぐもぐ、そうなのだ。はぐっ、もぐもぐ。それでこの姉ちゃんたちが、もぐもぐ、やっつけたのだ!」
「鈴鈴ちゃん、食べながらしゃべるのは行儀が悪いですよ。その時、彼女たちは黒い三頭身の鋼鉄の人形と似た姿でした。
そして、黒い鋼鉄の人形のことも知っていました」
孔明は張飛こと鈴鈴に注意を促しながらも、警戒した面持ちで劉備ガンダムと超雲ガンダムを見詰めた。
「ってことは、そいつらは黒い鉄人形の仲間で、あたしらを信用させるために芝居をしてるかもしれないってことか?」
椅子にもたれながらまんじゅうを食べていた馬超が身を乗り出す。馬超の意見に呼応するように魏延が頷いた。
「十分に考えられる事じゃな。何より、まず初めに劉備殿に近づいたのが怪しい」
鋭い視線を劉備ガンダムに向ける魏延は敵意を微塵も隠そうとしない。幼い璃々は敏感に雰囲気を感じ取り母である黄忠へと擦り寄った。
「おかあさん…」
「大丈夫よ、璃々。焔耶さん、璃々が怯えてしまいます」
やんわりとたしなめる黄忠だが、魏延こと焔耶は耳を貸そうともしない。
「怪しい奴を警戒するのは当たり前と思うがな。それが敵かもしれぬならなおのこと!」
焔耶は大根棒、鈍砕骨を何処からともなく取り出し劉備ガンダムに向けようとした。しかし、首筋に当てられた矛先に動きを止めた。
鋭利な槍の先には超雲ガンダムが焔耶を睨みつける姿があった。
「疑われるのは仕方ないとしても、我が主君に武器を向けることは許さない」
「殺る気か?」
「そちらが望むのなら」
険悪な雰囲気になりだし、愛紗は孔明と張飛の傍へと近寄った。いざとなれば二人を抱えて逃げるつもりである。
もちろん黄忠は己の娘、星は己のメンマ壺、馬超はまんじゅうの皿を抱えている。
まさに一触即発。そんな空気の中、二人の劉備が間に割って入った。
「魏延ちゃん、お願いだからやめて」
「超雲、落ち着けよ」
「わかりました」
超雲ガンダムは素直に「無双戟 嵐」を収め、席へと座り直す。その時、怯えた璃々と黄忠に向かって頭も下げた。
一方、魏延は渋い顔をして超雲ガンダムを睨み続けていた。
「しかし、劉備殿…」
「駄目かな?」
項垂れる桃花に魏延は心臓が鷲掴みされる思いだ。
(愛しい劉備殿が切なげに!こんな怪しい輩にも手を差し伸べるなどまさしく天女ではないか!
 あぁ、劉備殿、あなたはなんて慈悲深く、愛らしく、美しいのだ!)
内心で悶える魏延が大人しくなったので皆は席に座った。
愛紗も張飛と孔明から離れ、お茶を少量口に含み喉を潤わす。
(一瞬はどうなるかと肝を冷やしたが、大事にならなくて良かった。でも、やはり空気がまだ重いな)
茶器を放し、愛紗は手の平を打った。
「まあ、落ち着いたところで。劉備ガンダム殿、超雲ガンダム殿、話を聞かせてもらえないか?
 私はあなたたちのことをもう疑っていないが、他のものは違うだろから」
愛紗に促され、劉備ガンダムは話し始めた。
「俺たちは君たちと違う世界から来たんだ。」


「違う世界というのは、一体どういうことですか?」
「言葉の通りだよ。俺たちの世界は『三璃紗』と呼ばれていて、そこにはたくさんの武者ガンダムがいるんだ。
 ガンダムっていうのを説明するのは難しいけど…」
言葉の詰まる劉備ガンダムに超雲ガンダムが助け船を出す。
「あなたたちの言う『三頭身の鋼鉄の人形』だが、特徴としては二つ目で、立派な鎧姿で、強い武将というのが上げられる。
 ちなみに、我々は感情もあり、寝食もできる。傷つけば血が出て、死にもすることを知っておいてもらいたい」
超雲ガンダムの言葉に鉄の人形ぐらいしか認識していなかった恋姫たちは息を呑んだ。
姿形が自分たちと異なっているから生きているなど微塵も思っていなかった。
沈黙する中、桃花が小さく声を上げる。
「じゃあ、あの姿がガンダムで、劉ちゃんの本当の姿なの?」
「あぁ。あの姿が俺たちの本当の姿だ」
現場に居た愛紗、超雲、張飛、孔明は俊敏に動きまわり敵を倒していったガンダムの姿を思い出した。
今の劉備ガンダム、超雲ガンダムとは似ても似つかない鎧姿を見ていなければとても信じられないだろう。
納得する4人を余所に黄忠が躊躇いながらも手を上げた。
「あの、ガンダムというのはよく分からないですけど、今の姿とは違うのですか?」
「はい。紫苑さん、翠さん、魏延さんは見ていないから知りませんけど全く違います。
 人の姿をしていませんでした」
孔明はきっぱりと言い切る。残りの3名も大きく頷いた。
揃った応対に魏延が憮然とした態度で腕を組む。
「では、なぜ今はわしらと同じ姿をしとるか説明してくれ」
「ごめん。それは俺にも分からないんだ。気が付いたらこの姿で、戦ってたら元の姿になっていたから」
劉備ガンダムは頭を掻きながら答える。視線を超雲ガンダムに移せば、彼女(今は女性なので)も首を横に振った。
本当に劉備ガンダムもこの姿になる理由が分からない。そもそも、自分がなぜここに呼ばれたのかも分からないのだ。
分からないことだらけに溜息の一つぐらいつきたいが、吐き出した途端に大根棒をつきたてられそうだから堪える。
考え込む一同の中、孔明が重い口を開いた。
「これは憶測なのですけど、あなたたちがしている腕輪が関係していると思います」
考え込む風情の孔明に超雲がメンマをつまもうとしていた箸を止めた。
「朱里、それは一体どういうことか説明してくれ」
「そちらの方たちがガンダムだった時、腕輪が光を放ったんです。
 その光が収まった時にはすでに人間の女性の姿になっていました。その腕輪が光ることによって姿が変わると考えられます。」
「どうしてそうなるんでしょう?」
「それは分かりませんが、何かきっかけがあるのかもしれません」
きっかけと言われ、劉備ガンダムと超雲ガンダムは記憶をたどり始める。
しかし、困っている恋姫を助けたぐらいで他に思いつくことはない。
「ごめん。考えてみたけど、きっかけというのも分からない」
「私も考えてみましたが、さっぱりです」
項垂れる二人に桃花が笑いかけた。
「そのうち何か分かると思うから元気出して!」
愛紗も劉備ガンダムの肩に手を乗せた。
「そうだぞ、そんなに気落ちしなくても案外なんとかなるものだ」
「お姉ちゃんたち元気出して」
幼い璃々にも励まされ劉備ガンダムたちは顔を上げる。