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娘娘カーニバル! 第1章(後編)

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「俺は付けてもらうならかっこいい名前が良いな。今はこんな姿だけど一応男だし!
 超雲はどんなのがいい?」
「私もかっこいい方が。名乗りやすいのでも構いません」
新しい名前に積極的な劉備ガンダムと超雲ガンダムに孔明は恐る恐る顔を上げる。
朱色の大きな瞳に涙をためている孔明に劉備ガンダムはにかっと笑いかけた。
「君たちの真名は大切なものだから簡単に呼ばしちゃいけないだろ。
 それなら、俺たちが名前を変えるよ。でも、そんな風に俺たちのことを考えてくれて嬉しいよ」
心を包み込むかのような言葉と笑顔に孔明は零れそうになる涙を拭う。
(劉備さんってまるで海みたい。大きくって、なんでも包み込んじゃうから)
「そうと決まれば、鈴鈴が考えてあげるのだ!えーと、熊次郎と辰五郎はどうなのだ!」
自信満々に胸を張る張飛に馬超が声を上げ、腹を抱えて笑いだした。
「なんだそりゃ。あー、腹痛ぇ。あたしなら辰治と馬のすけにするぜ」
「仮にも私と同じ名前の者につけるものではないな。そうだ、龍美仮面と麗蝶仮面はどうだ?
 麗しい華蝶仮面になぞらえてみた」
「それいいかも!劉ちゃん、超雲さん、これに決めたら?」
「俺、さっきの中から選ばないといけないのか。それよりも力太郎と金太郎のほうが」
「劉備さん、それは主君命令ですか?命令ならば従いますが、命令でなければ断らせてください」
「おぬしら、真面目に考えていないじゃろ…」
「名前を決めるなら、やっぱり字数を調べた方がいいかしら?」
「あー、もう!朱里、いい案はないか。このままではひどい名前になってしまう」
愛紗の悲鳴に孔明は先程と打って変わって、晴れ晴れとした表情で騒ぐ一同を見た。
「みなさん!私が名前を決めましたから聞いてください」
はつらつとした声に皆が期待と興味に満ちた瞳を一斉に向けた。
孔明はその視線を受けて一度咳払いをする。
「では、発表します。劉備さんは『海(かい)』、『うみ』と書いて『海』。
 超雲さんは『青嵐(青嵐)』、『青い嵐』と書いて『青嵐』、これでどうでしょう?」
劉備ガンダムのことを孔明は海のように感じていた。
海のように大きく広い心は誰もを包み込み、安らぎを与える。
劉備ガンダムにはこの名前しかない、それにかいと呼べば本人の希望にもあっている。
超雲ガンダムはさわやかな笑顔が初夏を思い出させる。
青々と木々が茂る中吹きわたる風がぴったりだ。しかも短いから名乗りやすい。
考えに考えた結果に孔明は胸を張って二人の返答を待った。
「良い名前だな!よし、ここでは俺は『海』だ!」
「私は『青嵐』ですか、素敵な名前を付けていただけて良かった」
満足げに新しい名前を早速名乗る二人に孔明は安堵の息を吐きだした。
自分ではこれしかないと思ってはいたが、本人に気に行ってもらえなければ意味がない。
大事を成し遂げた孔明に暖かいお茶が差し出された。
「はい、朱里ちゃん。お疲れ様」
「ありがとうございます、桃花さん」
「朱里ちゃんのおかげで素敵な名前を名乗れて二人とも嬉しそう」
隣に並ぶ桃花の瞳はとても優しい。
同じ名前だからか、劉備ガンダムこと海と桃花は似ているところが少しだけある。
仲間を引き付ける魅力、誰もを受け入れる器、優しい性格。
(でも、桃花さんを海とは思えないのは何ででしょう?)
つらつらと考え込み掛けていた孔明に海が大きく手を振った。
「孔明!俺たちにも真名をくれてありがとな!」


次回「劉備ガンダム、女神と会う」
 黒い兵たちに会わずに数日が過ぎる。慣れないことに戸惑いながらも義勇軍のみなと楽しく過ごす。
ある日、孫権ガンダムが桃花村を訪れ、なぜ自分たちが呼ばれたかを語る。
その晩、劉備ガンダムの前に一人の女性が現れる。その手足には鎖が…