東方少女SS集
永遠亭に住まう者たちに気付かれないように、外に出る輝夜。
迷いの竹林の生い茂った竹の合間から見える月は丸くあり、夜空に星屑が散りばめられていて、澄んでいた。
今の輝夜には感情と呼べるものは持っていなかった。
永遠に繰り返されるはずだった、妹紅との戦いはもうできない。
永遠なんて存在しないのだ。
はじめて輝夜は気がついた。
永遠に続くと思われている星や月もいつかは尽きる。
優曇華の盆栽だって自分が消えれば、きっと枯死する。
輝夜と妹紅の関係も崩れてしまった。
つまり自分の存在だって永遠にあるわけではないのだ。
「あら、こんな夜遅くにどうしたのかしら。あなたが来るなんて珍しいわね」
「事情はきかないで。私という境界をいじって私を消してほしいの。私は『死ぬ』ことはできないけど『消える』ことはできるでしょう?永遠なんて存在しないことに気付いたの」
「何があったかは知らないけど、後悔しないの?本当に戻れないわよ」
「かまわないわ。今の私には感情なんて存在しないの」
少女はゆっくりと消えていく。
消えていく少女は何を思うのか。
最後にひっそりと、少女の脳裏に恋い焦がれた少女が浮かんだ。
彼女の行方は誰も知らない。