無駄な特技 その2
「何処ぞの窓際准将閣下が最近急に羽振りが良くなったらしいとか」
「その子飼いの大尉のいる街ではやたら軍人がハバ利かせて街の住人と衝突しそうとか」
「最近あちこちで廃線の線路とかの資材泥棒が相次いでるとか」
「軍で3割のシェアを持つ商会が南部に新しい工場立てたとか」
「中央で最近やたら夜会が流行ってるらしいし」
「主催はその商会さんだが随分上層部の某方に肩入れしてるご様子で」
あああ何か段々話の流れが怖くなってきた気がする・・・!
ただの噂話というより裏のネタっぽくなってきたのは気のせいですか・・・!
「ただのウワサだって」
「そう、噂だな。別に信憑性のない」
「だけど火のないトコには何とやら、ってな」
な?何て満面の笑みで同意を求められましても困ります。
あー…聞いてしまった。
コレ絶対そのうちこのネタに首つっこむつもりだ…。
そしてその時動かす駒としてもう自分はカウントされているんだろう。
「・・・ホントどっからそんなネタ・・・」
諦めて暗黙の了承代わりに大きく息を付けば、上司2人は同じ表情で揃って笑った。
「「秘密だ」」
・・・・・・大佐と中佐ってこういう妙な所が物凄い似てる気がする。
対面するにあたっての人当たりだの何だのの方向性は全然違うが、根本的な所が近いにおいがするのだ。
それを表す言葉が何かあったはずだ。類は友を呼ぶとかなんとか。あれだ、あれ。ファルマンが言ってたやつ。
・・・まぁ、そんな風に近い感覚持ってるからこそ、こんだけ仲良いというか気が合うんだろうけれど。
「まぁいいですけどね…。…で、まさかと思いますがやっばい筋買収とかってして
ませんよね?という質問は、ちらりと見遣ったバックミラーに映ったダブルのにんまり笑いにかき消される事とあいなった。
あー…やっぱ似てる、この2人・・・。
優秀であるためには情報収集能力も高くなくちゃ駄目って事か。でもコレ外だけでなく内に向いても有効ってどーなんだ。
そんじょそこらのテロリストの相手する方がコトは穏便なんじゃないか、と。
心から思わずにはいられなかった、ジャン・ハボック2●歳の春だった。
その後彼は、ヤクザな上司を持つと苦労をする、としみじみ同僚に語ったとか何とか。