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鈴鳴の秘宝 第一章 予兆

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―――…ちりん

「これはまた…」
離陸する時に渡された資料を見て、緑色の髪をした男が顔を歪める。
「なんというか…」
「そんなに厄介な任務なの?」
もぐもぐとサンドイッチを食べながら話かけてきたシスター。
「リース、食べ歩きすんな…ホレ、見てみ」
すばやく口の中にサンドイッチを消して、資料を読む。
「…5つも」
「クロスベルという都市の特異性か、或いは本物ではなくニセモノか」
「でも、この報告は、ニセモノという事で片付けられない。勿論、人為的なものでも」
リースの目が険しさを帯びる。
『突然人が消えて、一日後に歩いて行ったにはあり得ないところで発見された』
「星杯騎士団嫌いな方もおるみたいやけど、まぁ許可はいただいとる」
踵を返し、操縦室へと向かった。
「目的地、クロスベル。星杯騎士団第五位、ケビン・グラハム。これよりアーティファクトの回収へ向かう!」
『イエス・サー!!』

―――…りん

「…っ…?」
足元がふらついて立ち止まる。
「…ロイドさん、大丈夫ですか?」
青い髪の少女が不安げに訊ねる。
それに赤い髪の青年と銀色の髪の少女が振りかえった。
「ああ、大丈夫。ちょっと立ちくらみがしただけだから。エリィもランディも気にしなくて大丈夫だって」
「そう…?でも最近忙しいし、なんだかんだで一番働いてるのあなたじゃない」
確かにここ最近朝は早く、夜は遅い。あまり健康には良くない生活が続いている。
ちなみにキーアは今遊びにいっている。
「もう仕事は簡単なものばかりですし、休まれては?」
「いや、平気だよ」
「いや、休んでくれ。そして明日の業務を俺と代わっ」
じろりと女性二人に睨まれ、ランディは怯んだ。
「い、いや、冗談ですよ?そんなそんな」
「ならいいけど」
「あまり冗談に聞えないもので」
「はははっ。じゃあお言葉に甘えて、キーアが帰ってくるまで休むよ」

―――…りぃん

「エルナンさん、それホント!?」
「はい。クロスベルの治安警備の手伝いをお願いしたいとの事で遊撃士を3名だそうです」
「行きたい!ねぇヨシュア!!」
「落ち着いてよ。僕らは決定してるんだから」
「…へ?」
「あっちに土地勘があり、信用もされている。そして私が希望したというわけ」
「シェラ姉!!」
短くなった髪に、露出の増えた服。影の国で見たときと変わらない姿だ。
「そしてこっちはまた別だけどね」
赤毛で筋肉質な男と金髪の少女が入ってきた。
「アガットさんにティータ!」
「久しぶりじゃない!!」
ティータを抱きしめるエステル。その腕の中でとても嬉しそうにティータは笑う。
「もしかして、二人もクロスベルに?」
「うん。クロスベルの導力ネットワークに触れてリベールでもその技術を取り入れるためにまず私が行く事になったの」
「そっかぁ…!!」
「ふぅん。面白そう」
二階からスミレ色の髪をした少女が降りてきた。ティータがさらに顔を明るくする。
「レンちゃん!!」
「レンも行こうかしら。あの子にいたずらしに行くのも面白そうだし」
「こらこら、何行く気になってるのよ」
「むぅ。エステルのケチ」
頬を膨らませて、レンが拗ねる。それを見たティータが閃く。
「あのあの、レンちゃんを補助員として連れて行くのってダメなんでしょーか?」
「ティ、ティータ…」
「レンさん、貴女はおいくつですか?」
「あら、女性に年齢を聴くのは失礼じゃない?」
「これは失礼しました。ですが必要事項なので」
「…14歳よ」
「分かりました。あちらに補助員として連絡しておきます」
「ありがとう、お兄さん」
何かを書きとめて笑顔でレンのお礼に応える。
「それじゃあ、定期船に乗ってクロスベルよね」
「はい。手配はしてありますので」
扉に手をかけて、開く。
「よっし!それじゃあ、いこっか!!」

鈴の音が鳴る。

鐘の音に紛れ、それは聞こえない。

気付かなければ、呑まれてしまう。

それに気付く者も、まだいない。

作品名:鈴鳴の秘宝 第一章 予兆 作家名:桜桃