鈴鳴の秘宝 第一章 予兆
Episode.5 死の螺旋
全身が痛い。
「あれ…ここ…?」
部屋で寝ていたはずなのに。
「あれは…月の僧院?」
3時間で来れるところではない。
「…一体?」
もう日が暮れていて、星が綺麗に見える。
「ロイド!!」
「ロイドさん!!」
「エリィ、ランディ、ティオ…!?」
向こうから走ってきた3人の姿にロイドは驚愕の顔を浮かべた。
「無事で良かった…!」
「君、痛いとことかあるか?」
「全身痛いですけど…大丈夫ですね」
背後に感じた気配にリースは反射的に振りかえり、法剣を構えた。
「何…!」
「魔獣っ!!」
エリィ達は武器を構える。リースが目配せもなしで敵に踊りかかった。
ケビンは後ろで詠唱を始めた。
「リース、頼んだで!」
「分かってる!」
剣が伸びて、魔獣を翻弄する。それだけでなく、的確に少しずつではあるがダメージを与えていく。
「ケビン!!」
「任しとけ!!一発でカタつけたる!!」
導力魔法が発動する。
―――デス・スパイラル
「…すげえな…導力魔法の威力」
「星杯騎士団っていうけど従騎士…いえ、正騎士レベルじゃないかしら…」
「…もしかしたら、どちらかは≪守護騎士≫かもしれないですね」
「しゅ、守護騎士…」
「あーそれ俺の方や。第五位。ケビン・グラハム。よろしゅうな」
「リース・アルジェントです。ケビンの従騎士です」
ぺこりと頭を下げる。
空が、白んで来た。
―――…りん
作品名:鈴鳴の秘宝 第一章 予兆 作家名:桜桃