二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

INDEX|23ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 
×月×日(8)

前回うっかりイイハナシダナー☆風にオチてしまったので、後出しで銀ちゃんのものいいがついた。……何なんすかねーあの人は、そもそもドヤ顔で牛乳買い出し行くぞっつったの自分でしょーがっ、いいガタイのいいオトナがいつまでも少年のピュアソウルホルダーって本当しちメンドくさいわーっ!(※けんさん特例。)
「……大体なァ、今までだいぶ大目に見てたけど、おまえらのあーゆーダラダラしたのはホントよくねぇぞっ」
――ダシッ! いちごオレ入りのカップをじむしょのテーブルに叩き付けて、ややテンパり加減に銀ちゃんが言った。
「……。」
ぱっつんはソファに俯いたまま黙っている。片手にすこんぶせんべいをぱりぱり齧りながら私は発言した。
「……ンなこと言ってもじっさいぱっつん日陰の身ィあるし、」
「――えっ」
ぱっつんと銀ちゃんが同時に私を見た。――うっそォ何そんないきなりガチリアル路線でいくわけェ? 露骨に泳いだ二人の目線が訴えかける、
「……、」
――ごっくん、こぶ茶ですこんぶせんべいを喉に流して私は言った。
「だってマ夕゛オのおじちゃん、さんざ土下座でイヤッフしてても息子みたいなぱっつんとふらふらパーフェクトわーるどごっこしてても、けっきょく前の奥さんと籍入れたまんまなワケじゃん、」
「――、」
――ゴホン、大袈裟に咳払いして銀ちゃんが言った。
「しょーがねぇな、こーなったらいっぺん三者面談できっちりナシつけて……」
「やめて下さいよっ」
顔を上げたぱっつんが銀ちゃんを遮った。
「……スミマセン、」
浮き上がりかけていた腰を引くと、ぱっつんは眼鏡の位置を直し、背凭れに背を付けて深呼吸した。
「僕はただ、マ夕゛オさんに幸せになって欲しいんです、」
小さく息を吐くと、ぱっつんは続けて言った、
「前の奥さんのところに帰るのがマ夕゛オさんの幸せならそれで全然構わない、……できれば僕もそのちょっぴりお裾分けで幸せになれたらなぁ、なんて、」
――エヘヘ、やっぱ都合のいいワガママですかね、ぱっつんは心から照れ臭そうに頭を掻いた。
「……。」
――わぁ、私と銀ちゃんは共に言葉を失った。……常日頃地味だ地味だとは思っていたが、あんたってば、あんたってばなんて子なのッ、その思考が既にドン詰まりに不憫すぎるっ!
「いっそマ夕゛オさんが二人いればいいのになぁ、」
控えめなデザインの眼鏡の奥に、いかにも薄幸そうな微笑を浮かべてぱっつんがぽつりと言った。
「……そしたらダメじゃない方の立派なマ夕゛オさんは奥さんに返して、ダメな方のマ夕゛オさんを僕が引き取るっ!」
膝に置いたぱっつんの拳にぐっと力が入った。
「……いやぁ、無理だと思うぞ」
天パの後ろ頭をわしゃわしゃ掻いて銀ちゃんが言った。かぁぁと赤面してぱっつんが振り向いた。
「わ、わかってますよ僕だって、マ夕゛オさんがこの世に一人しかいないことくらいっ」
「――イヤそういうことじゃなくてだな、」
思わず噴き出したくなるようなマジ顔で、ぱっつんの前に銀ちゃんがずずいと身を乗り出した。
「……これは俺のカンだけどな、」
――いんや断言してもいい、何なら明日の昼飯にコンビニのかしわめしミニを賭けてもいい、さんざゴチャゴチャ勿体付けた挙げ句に銀ちゃんは言った、
「おそらく、おまえと前のヨメさんとの間で、ダメな方のおっさんの取り合いで修羅場になる」
「……。」
ぱっつんが青ざめた顔色に絶句した。……理不尽であるのは重々承知だが、私も銀ちゃんの見立てに八割方同意である。だって、まるでダメじゃなくなったマ夕゛オのおじちゃんなんて、味もそっけもないただの仕事のできる四十路手前のグラサン髭おじさんにすぎないもの、――それで十分だ、何の不満がある、普通に考えればリスクは最小限に取るべきであるのに、人間というのは時として理屈では説明のつかない行動に走るものだ。
「……じゃあさぁもう、立派な方のおじちゃんに頑張って三倍働いてもらって仕送りだけしてもらって、あとの三人で仲良く暮らせば?」
これ以上まともに考えても煮詰まるだけなので、場の空気を変えようと私はテキトー発言をかました。
「えーっ? でも姉上が何て言うかなーっ」
ぱっつんが本気でデレる、
「まず心配すんのそこじゃねーだろがっ!」
銀ちゃんが即座にびしいとツッコミを入れた。
「まぁまぁ、理想の家庭像なんて人それぞれですしぃ、」
ソファに寝そべり、あぐあぐすこんぶせんべい齧りながら私は言った、
「――ちなみに私の理想は三食昼寝+おやつ二回に夜食とお城としゃとー(←何かは知らない)とやたらとさつじん事件にそうぐうしないかせいふさんとあとぜったい外せないのが自家製すこんぶ工房付きね!」
「じゃあじゃあっ、銀さんはっ?」
妙に生き生きと眼鏡輝かせてキョーミしんしん、ぱっつんが訊ねた。
「はっ?」
――おおおオレかっ?! 不意を衝かれた銀ちゃんがアワアワしながらも、カッコつけた腕組み姿勢に答えた。
「……そーだなー、専業主夫ってのも一瞬考えたけど、やっぱ今みたく自宅兼じむしょでてきとーにダラダラ便利屋やりつつなるべく先生が帰る時間までに家に戻って晩メシの支度して……、あっでも気ィ遣わせるといけないから出来立てとかにはこだわんないチンすりゃいつでもおいしく食べられる献立中心で……、いやその間晩酌で繋いどいてもらって先生がテーブルに着いてからササッと仕上げて熱々をパッと出す……、やーでもなー、帰って来てからも論文ちぇっくとかいろいろ忙しいかもしんないし、片手で摘めるカンタンなもんのほーがいーのかなー……、いやいや、頭使う仕事だからってやっぱ基本は身体なわけだからちゃんとメシ食わすのも家庭の務めのうち……ってナンだおまえらーーーーーっっっ!!! 何言わしてェんだダレだ俺はッ!!!!」
「……。」
――自分で勝手に語り出したクセに、私とぱっつんは顔を顰めて耳栓したまま、あっかいカオしてぜぇぜぇガナる銀ちゃんをしらっと見ていた。
……てなカンジに三時間ばかし三人であーだこーだ話し合った末でのマ夕゛おじちゃんとぱっつん現状打開策↓

1 ふんづかまえたマ夕゛おじちゃんをダメな方とダメじゃない方に二層スライスする。
2 あらゆるコネを使ってダメじゃない方のマ夕゛おじちゃんを元いた職場(もしくはもっと高給取りを望めるところ)に戻して馬車馬とする。
3 ダメな方は今まで通り放し飼いにしてぱっつんと逆玉先の奥さんとの間でよき塩梅にシェアする。
4 こんなしょーもないこと何時間もしんけんに議論しあうなんてよっぽどヒマなんだね私たちー、というグダグダの結論に至る。


+++