世界が幸福に包まれる
「ふぅ、何とかなったね」
「二人とも幸せそうで良かったです」
「帝人君も、もうちょっと甘えたらいいのに」
「そうですね。でもあれくらいが丁度いいと思いますよ」
そんなもんかなぁ、サイケと学人は何時の間にか離れた場所から二人を見守りながら呟く。
「それで臨也さんが気付けばいいんですよ」
「でも臨也君は帝人君のこととなると変なところで鈍いよ?」
「大丈夫ですよ、臨也さんですもん」
くすくす、笑い合う声に気付いて、帝人が二人を呼ぶまであと三秒。
サイケが勢いよく臨也にぶつかるまであと七秒。
臨也がバランスを崩すまであと八秒。
臨也と帝人の唇が合わさるまで、あと――
作品名:世界が幸福に包まれる 作家名:朱紅(氷刹)