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だぶるおー 天上国 王妃の日常4

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「どうするじゃねぇーよっっ。てめぇーの護衛は連れて行けっっ。俺の馬も呼んでくれ、デュナメス。」
 頼んでみると、デュナメスは、ジョシュアの馬も呼んでくれるようになった。お陰で走って厩舎に出向かなくてもいいようになった。ぱっからぱっからと、ジョシュアが乗っている馬が、勝手に走ってくる。厩舎の人間も慣れたもので、ちゃんと鞍もつけてくれている。
「しかし、これに慣れると、外へ戻ったら苦労しそうだな。」
 言わなくても伝わるというシステムは、ここにしかない。外では、やはり走って厩舎に向かって、鞍を付けるのが普通だ。
「そうだろうな。・・・ん? うん・・・ああ、大丈夫だよ。蔑ろにしてないよ? うん。」
 ニールが、デュナメスにくいくいと引っ張られて話している。俺の相手をしろと言っているらしい。よしよしと頬の辺りを撫でてやると、うっとりしている。そういうところは、普通の馬と変らない。

 門から城壁に沿って走っていると、背後から青い馬が追いついてきた。エクシアだ。凄まじい速度で追いついて、歩を並べる。
「仕事は? 」
「すませてきた。ジョシュア、俺が代わる。」
「はいはい、デートしてらっしゃい。」
 刹那がニールと一緒に遠乗りするというので、ジョシュアは馬の足を止めた。エクシアが少し前を走る。それをデュナメスが追い駆ける。そんな感じの走り方だ。青い馬は、外にはいない。妖精の馬だ。デュナメスは灰色だが、その体格は並外れて大きい。それなのに、どこか仲良く並んでいる姿は微笑ましいと思うようになった。すっかり、こちらに馴染んだ証拠だ。

・・・・いいとこなんだけどさ。・・・・

 ジョシュアも、少し迷っている。違う国に働くのは、別にいいのだが、何かあったら駆けつけられないとなると、やはり家族は気になる。しばらくは、ここで働くつもりだが、将来はどうするか決めかねている。ここは居心地の良い場所だ。教授が帰りたがらないのも、そこだろう。ここに長く暮らせば、人間でも寿命が延びる。そうなると、家族と会えなくなってしまう。年を取らなくなったら、いくらなんでも家族でも怖がるだろうからだ。

・・・まあ、今のところは考えないでいいな。・・・・・

 今は、とりあえず、気楽に働ける良い職場ということにしておけばいい。そのうち、否が応でも選択は迫られる。末の妹が、働けるまで五年ほどかかる。だから、その間は決めなくていい。仕送りする必要がなくなって、家も一番上の兄が継げば、ひと段落する、そこからどうするか、なんとなく、自分でも判っているのだが、それはわからないフリをしておくことにした。

 一応、護衛だから後からついていくか、と、先に進めたら、遠くに馬同士が近づいて止まっていた。馬上の身体もくっついているように見える。世間で言うところの新婚さんなわけだから、ところかまわずな気分になることもあるんだろう、と、ジョシュアも馬の足を止めて、あちらから見えない位置に隠れた。