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Love little and love long.

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夢は夢であってほしいものだ。
そう思ったのは、俺の夢で起こった出来事が原因である。
夢は夢であってほしい、切実に願う。

『離婚しましょう…』

おかしいな。夢で聞いたと思った彼女の声がすぐ近くに聞こえる。
それにどうしてだろう。今の状況、なんか見覚えがあるような。

デジャヴなのか?…だとしたら俺は今すぐに耳を塞ぐぞ。
夢から覚めたはずなのにこんなのって、俺は自分の運命を呪った。

彼女がこれから発する言葉にごくんと喉を鳴らして心構えた。

『──さようなら』

それは俺が、夫婦の間で最も恐れていることだった。



【Love little and love long.】



パタンッ。

玄関の扉が閉まる音がして、俺は盛大に溜め息を吐いた。
そしてこれからどうしようかと一人きりになった空間で呟く。

「しくったなあ…」

高級な黒革のソファーに寝転ぶとダラリと四股を投げ出して、白い天井を見つめる。
その白が空っぽになった自分の心と一体化したかのように空虚感を備えていた。

…嫌味な色だ。白という色はすべてを無にしてしまう。
それまで持っていた感情や気持ちを忘れさせる。

白紙に戻すという言葉のように浄化の色とも使われる白。
今までの気持ちを無くし、すべてをリセットするための色。

見つめた天井はどこまでも白く、その白がどうしてか自分を責めているようにも思えてきて、俺は再度息を吐く。

「わかってるさ」

そう呟いた言葉は誰かに向けたものではない。
自分自身を言い聞かせるための自分へ向けてのものだった。

時間を巻き戻して、すべてを無かったことにしたい。
今更募る後悔が過去の自分へ痛罵を浴びせる。

けれど、どうしてこうなってしまったのか。
もう一度初めから思い出してみた。



遡ること一時間前──。


作品名:Love little and love long. 作家名:煉@切れ痔