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田舎のおこめ
田舎のおこめ
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青春その後

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おはこんばんにちは、にわちこと、にわ君こと、転校生こと、イトコこと、まこ君君こと、丹羽真です。
高校を卒業して2ヵ月、今俺はあの町から少しだけ離れたところに暮らし、大学に通っています。
大学生活にも多少の慣れを感じてくる時期である。新鮮さも多少手垢が付いて慣れてくる季節。春も終わる季節。
2ヶ月もすれば、大学でも普通に友達ができるものだ。あの町に引っ越した時とは違い、転校生というオプションもなく、周りと同じ新入生。ある意味では対等な関係であるから、友達も作りやすいかなー、っとは思っていた。
それでも、あの町で出会ったほっぺぷにぷにのフルーツストや、長身虚弱なコスプレイヤーのようにドキドキを伴うような出会いもなかった。まあ、別にいいんだけどね。あの二人は今も大切で楽しい友達だし。ちょっと離れちゃったけど。距離的に。
あ、ちなみに新しく出来た友達は男ばっかりね。ってか、あんなに親しい女友達がいる事自体が、奇跡みたいなもんだしな。
 ちなみにあの二人はというと、ほっぺぷにぷにのフルーツストは俺とは違う大学に(そんなに離れてるわけでもないけど)。長身虚弱なコスプレイヤーはあの町に残って、親の居酒屋を継ぐため修行すると言っていた。リアル看板娘とかやってそうだ。
離れてしまって、昔のように気軽に会えなくなったのは寂しい限りだが、俺達はそれぞれ自分で道を選びそれぞれの人生を全うすることを選んだのだ。それで仲が悪くなったとか全然ないし(普通にメールとかくるんだよね、特にフルーツストの方)長期休みにはあの町で再会しようと約束している。いい友人関係継続中。
 ああ、そーいえば女々さんもあの町で元気に働いてるよ。どーでもいいけど。ちょっと話題に出しただけでテレビの裏とかから湧いて出てきそうだからねあの人は。1行も話せば十分だ。
 まあ、そんなこんなで俺も元気に暮らしています。んん?一人暮らしかって?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うん、今度こそホントの一人暮らしだと、楽しみにしてたんだ。本当に。エロ本だってあの四十歳妖怪に探される心配だってなくなるし、なにより前から憧れてたからね一人暮らし、うん。
ただね、実際に今一人じゃないんだ。びっくりするよね、あんなに楽しみにしてたのに。別に、誰かの陰謀とか嫌がらせとかじゃないんだよ。自分でこの状況を選んじゃったのよね。もちろん、後悔とかはない。ただびっくりしている。ほんと、たまーーーーに発揮する自分の行動力には衝撃をうけるよ。
その行動のお陰で、貯めこんだ青春ポイントと共に制度自体廃止に追い込まれた。もう青春男とは言えない状態。そんな状態になってしまった原因(あくまで自分のせいです)は今俺の横で半スマキン状態でゲームに夢中。

そいつは体に布団を巻きつけるというよくわからない格好にも関わらず、芸術品のごとく整った顔立ちと宇宙人的なまでの水色で美しい髪と瞳で尋常じゃない美少女オーラを発している。その髪からはこれまた地球産とは思えないような水色の粒子を振りまいている。惜しみなく、水色の雪のように。
 そう、藤和エリオである。俺の従妹で女々さんとエリオットさんの娘。そんで、元電波女の現地球人。
ぶっちゃけ、同居です。従妹と。若い男女が一つ屋根の下(部屋は二つあるよ、大丈夫)一緒に暮らしているという「爆発しろ」と言われても文句一つ言えないこんな状態。
 あー、びっくりびっくり。ひいおじいちゃんルート選らんじゃったんだよねこれ。もうルート確定だよほとんど。
 「イトコ?」
エリオの顔を見ながらそんな事を考えていたら、不思議そうな顔をしながら疑問を投げかけてきた。いまだに呼び方はイトコ。もう慣れちゃってこの呼び方がいいみたいだ。
 「なんでもない。ほら、敵来てるぞ。」
ゾンビをばしばし撃ち抜いていくゲームをそのまま中断していた半スマキンは慌てて画面に目を戻しボタンを連打しだした。相変わらず回復後回しの特攻が好きだなこいつは。
なんでこんなびっくりな状況になってるかと言うと、少し過去を振り返る必要がある。
卒業式が目の前の2月下旬。
まだまだ春が遠く感じる寒さの中、自分の行く末をなんとなく考えている時期にこの状況を作り出す俺のびっくりな行動があったのだ。


 「うあー、さむーい」
部屋の窓を全開で掃除をする俺の後ろで、ベットに乗りスマキン状態のエリオが文句のような感想を喚いていた。
 「じゃあ自分の部屋に戻ればいいだろー」
文句を言うスマキンに一つの解決方を提示してみた。どうやら、その解決方はお気に召さなかったようで、唇を尖らせて不機嫌そうな目つきでこっちを睨む。怒ってても整うのかこいつの顔は。
 「むむー」
 「はいはい、もうちょっと我慢しとけ。この辺片付けたら閉めるから」
最近、家にいるときは俺の近くにいることが多いんだよなコイツ。特に用があるわけでもなさそうなのだが。もしかして、俺がこの家を出ていくのが寂しとかかな?
一応、保護者のような立場だからね。
かく言う俺も、そんなエリオを無下に追い返したりできないんだよなー。
ちょっと前に半分冗談のつもりで部屋から追い出そうとしてみたんだ。まあ、エロ的な成分を補充したかったのもあったけど。
その時のこいつの顔、もうなんって表現したらいいか・・・
ただでさえ潤んでいるような水色の瞳から大粒の涙が唐突なくあふれてきて、透き通るような白い頬には赤みがさし、涙と対照的な色合いになり部屋から追い出されるのを断固拒否していた。首をフルフル横に振っていたせいで水色の髪から放たれる粒子は部屋中に散らばり涙が頬を流れたせいで髪はひっつき、顔に水色の線が大量に付いていた。
エリオの本気の泣きというのをその時初めて見たわけだが、速効で土下座をした。謝り倒した。本気じゃないです許してくださいっと。
もう罪悪感が半端じゃなかったね。数億はくだらい美術品を汚したような気分。あいつのって、美術品みたいだもんね。しかし、そんなに離れるのが嫌な程懐かれていたとは驚きの一言に尽きる。
 そんな訳で、そこからは一切追い出したりしようとはせず、好きなようにさしている。まあ、健全な年頃の男の子としては悪い気はしないからいいけど。ちょっと不便。
 しばらくして、スマキンがベットの上でゴロゴロしている間に部屋の掃除は一通り終わった。掃除が終わっても部屋は段ボール箱が散乱していて、とても片付いているとは言えないが、それもこの荷物を動かすまでだろう。ここに残るのは今スマキンが乗っかってるベットと、机くらいかな。どちらも藤和家から借りていたものだ。
掃除している理由は、もちろん借りていたこの部屋をお返しするため。
 後5日程したら卒業式だ。その2日後に俺はここから出ていく。2年近くを過ごしたこの部屋。この町。リュウシさんと出会い、前川さんと出会い、そしてエリオと出会ったこの町を後にする。ここに来る前に引っ越した時は、あんまり感傷に浸ってた覚えはないんだけどなー。むしろ、ワクワクしてた気がする。
作品名:青春その後 作家名:田舎のおこめ