FAアニメ派生集
第四話<loop>
世界中の全てのものを守れるなんて思っていない。
けれどせめて。自分の目の前にいるひとを助けたいと思うのは、いけないことなのだろうか。
そう悩んだ時期が自分にもあった。
「大佐。いいんですか、あのまま放っておいて」
「子どもじゃないんだ。答えは自分で見つけないと意味がない」
『人間なんだよ!』
悲痛に叫んだエドワードの声が耳の奥でよみがえる。
そう。人間だからこんなに苦しみ、悩むんだ。
かつて己は多くの人の命を、希望を、奪った。
それと引き換えに、享受したのは地位。
同じような思いを、彼にさせたくはない。
けれど。庇護されているだけでは、人は強くなれない。
悲しめ
泣け
その分
答えを見つけて
強くなれ。
彼の沈んだ心を表すような空の色
彼の透明な涙のような雨の雫
(エドワード 君が出す答えは君のものだ)
たとえこの先何があっても、信じた道を進め。
私はこの先何があっても
「君を守る」
そう決めている。
「雨が…やみませんね」
「気がすむまで、降ればいいさ」
この哀しい雨の音が
せめて
彼の慟哭を隠してやってくれるといい