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吉野ステラ
吉野ステラ
novelistID. 16030
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FAアニメ派生集

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第四話<loop>

 


  

世界中の全てのものを守れるなんて思っていない。
けれどせめて。自分の目の前にいるひとを助けたいと思うのは、いけないことなのだろうか。



そう悩んだ時期が自分にもあった。


「大佐。いいんですか、あのまま放っておいて」
「子どもじゃないんだ。答えは自分で見つけないと意味がない」


『人間なんだよ!』
悲痛に叫んだエドワードの声が耳の奥でよみがえる。

そう。人間だからこんなに苦しみ、悩むんだ。

かつて己は多くの人の命を、希望を、奪った。
それと引き換えに、享受したのは地位。
同じような思いを、彼にさせたくはない。
けれど。庇護されているだけでは、人は強くなれない。

悲しめ
泣け
その分
答えを見つけて
強くなれ。




彼の沈んだ心を表すような空の色
彼の透明な涙のような雨の雫




(エドワード 君が出す答えは君のものだ)
たとえこの先何があっても、信じた道を進め。
私はこの先何があっても

「君を守る」

そう決めている。






「雨が…やみませんね」
「気がすむまで、降ればいいさ」




この哀しい雨の音が
せめて
彼の慟哭を隠してやってくれるといい
  


作品名:FAアニメ派生集 作家名:吉野ステラ