待降祭
今現在、自分は真っ赤なワンピース(しかもミニ)姿で生足をさらして、ベッドに座るジェームズの膝に頭を乗せている。しかもベッドの上には、剥ぎ取られたシャツとタイ。さらに、自分の首筋には、恐らく赤い痕。
「……………………ちょっと待て」
どこ吹く風と、また自分の髪をいじっているジェームズの手を払い落とし、シリウスは勢い良く立ち上がった。
「ちょっと待てリーマスお前は何か誤解――っ!!」
「シリウス。その格好で追いかけるつもりか?」
「っっっっっ」
「ま、俺は別にいいけど」
「というかいい加減に俺の服を返せジェームズっ!!!」
「勝手に取れば」
邪魔はしてません、と両手を広げるジェームズをにらみつけてベッドの天蓋に引っ掛けられたズボンを取り戻し、慌しく身支度を整える。シャツをひっかけタイをポケットに押し込んで、ようやくシリウスは部屋を飛び出した。
扉をくぐる寸前、転がった小さめのツリーが、ふと目に入る。
(いつか、みんなでやるぞ)
乱暴に扉を閉めて走り出しながら、シリウスの口唇は綻んでいた。そうだな、と胸の内で、もう一度返事をする。
(そうだ。いつか、必ず、一緒にクリスマスを過ごそう)
アドヴェントカレンダーをめくって、指折り数えながら、楽しみに待つクリスマスを。
カレンダーに書いた予定はすべてこなして、枕元には靴下をぶら下げて。
そして願わくば。
そのときまで、そのときからも、ずっと、自分たちが親友であり続けますように。