二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
物体もじ。
物体もじ。
novelistID. 17678
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

大人の態度

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 






 さあ、夢を引きずり寄せよう。














子どもの条件
--------------------------------------------------------------








 淡く光るポイントに、爪先の形を成すデータの一部を触れさせる。

 そこから緩やかに解ける0と1、拡散も収束もせず、ただデータの流れとなって+と-に示されるままに移動する。


 それは「書き出す」よりも「写す」ほうが早く済むというそれだけであったとしても、単なるデータ量の問題なのだとしても、世界を構成する熱量として自身が認められている、そんな錯覚をすら起こさせる。


 指先をイメージするデータの一片が終着を感知すると同時、電子が瞬く間すらなく組み立てられる数値。収束でなく、ただの整列。

 その瞬間、取りこぼしも過ちも在り得ないと、誰が保証してくれるのだろう。


 「視覚」と定義された記述の先に、限界までに長い波長の可視光線。

 ああ、いや。クオークの流れすら見えるこの眼に、そんな区分はあまり意味はないのかもしれないけれど。

 この身が「人並み」でさえあれば、この波長が極まるまで鮮やかにも見えるのだろうかと思えば、そのことが少しばかり残念にも思える。


 これが「人の夢」だというのなら、それは何と儚いものだろう。夢の目指す先が現実だなどと、そんな皮肉にもならない莫迦ばかしさ。

 それともそうまでして、この現実こそが最上とでも思い込みたかったのだろうか?

 祭壇に自らを模した贄を捧げ、自身にお伺いを立てるというのか。


 知らないけれど。そんなことは知らないけれど。


 自分はそれを感謝すればいい、それとも恨みに思えばいい?

 半端でありながら壊れることすら許されない。


 それともこれは、慈悲なのでしょうか。



「―――どうした」



 バグか正規のプログラムかも判らない思いを向けるのが、こうして「触れ」あえる相手だというのは。

 種の保存の劣化複製(コピー)ですか、それとも その他を望ませないための防衛機構(セキュリティシステム )ですか。

 与えられた人の似姿、知覚と錯覚する情報認識、変化(パラメータのブレ)を知らぬ設定(ハード)と、成長を義務づけられた自己定義(ソフト)。


 一体、どこまでが許されたことですか。

 一体、どこまでを望んでいいんですか。


 どこまでも拡がろうとする情報(データ)の増大が、型となって軋む自己設定(アイデンティティ)という幻想に悲鳴を上げているんです。



「どうして、そんな顔をしている」



 余計な設定を施されない冷たいデータの塊に、頭を身体を押し付けて、視覚情報をカットする。安心。ここは安心だよ。安心したいんだ。


 ねえ、誰か早く、僕を肯定か否定(どうにか)してください。


 現実に侵食される夢が現実に絡みつかないように、縛ってください。

 それとももう、そんな資格も必要もないくらい、この0と1のつながりは壊れて、狂ってしまっているでしょうか。



「ロックマン、何とか言ってくれ」







 ああ、夢という言葉で紡がれた、その名があまりに重過ぎる。









作品名:大人の態度 作家名:物体もじ。