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物体もじ。
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novelistID. 17678
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ロックマンシリーズ詰め合わせ

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24/3K (ロックマンエグゼ・炎熱)



「キツイ、キタナイ、キケン」

『どうしたの、熱斗くん?』

「こういう仕事のこと、3Kって言うんだってさ」

『……どっから聞いてきたの、ソレ』

「てか、まんま、今の俺に当てはまるんじゃない?」

『考えちゃダメだよ、熱斗くん』



 じゃり、と膝の下で砂か何かが音を立てた。

 ひっきりなしに擦れる足は最初からずっと小さな痛みを訴えている。血も出ていないし、我慢できないものではない。けれどそれでも、痛いものは、痛い。


 しかも狭い。自分は(腹の立つことに)同い年の中でも小柄なほうのはずだが、それでも狭い。


 痛いし、狭いし、さっきから砂利はこすれるわクモの巣は引っかかるは、ろくなものではない。



『仕方ないよ。相手に気づかれないためにはこのルートしかないんだし、』

「ここは俺しか通れない、だろ? それっくらい分かってるって。分かってるけどさ〜」

『まあまあ……たぶんもうすぐのはずだから』

「くっそ……覚えてろよ……」

『誰に言ってるの、熱斗くん』

「決まってんじゃん」



 ずりずりずり、と熱斗は這いずりながら口を尖らせた。肘に当たったコンクリートの裂け目に顔をしかめ、時おり相棒に方向を確認しながら、とりあえず進み続ける。



『……八つ当たりはよくないよ、熱斗くん』

「だって! 俺とあいつがどんだけ違うってんだよチクショー」

『大きな声出さないで。気づかれちゃう』

「……ぜんぶ、炎山のせいだ」

『はいはい。炎山くんも大変だね。……あ、熱斗くん。そこ』

「あ、ここ? っしゃ」



 狭い中で不自由ながら体勢を変え、頭の中で「せーの」と掛け声をかけながら、目指す金網を思いっきり蹴り開けた。



「行くぜ、ロックマン!」

『了解、熱斗くん』



 途端ガラガラと派手に鳴る音をお供に、長い間通気口を這い回らされた鬱憤をばねにして、熱斗は身軽く飛び降りる。

 やっと吸えた新鮮な空気をいっぱいに溜めて、突然の物音に動きを止めた人間たちにPETを突きつけた。



「ネットセイバーだ! おとなしくしろよなっ」










「ご苦労」

「ホントだぜ」

「敵は一網打尽だな。これでようやくこの件も終わりか」

「長かったぜ〜……ってか最後が特に」

「そんなに時間はかけなかったはずだが?」

「気持ち的に長かったの。お前だってあんっな狭いとこに入れられればそう思う!」

「まあ、そんな瑣末なことはどうでもいいが」

「どうでもよくないっ」

「ついてるぞ」

「え?」



 すい、と指が伸ばされて、少し驚いた。

 軽く髪に触れてから遠ざかったその指に、白く細い糸が絡み付いている。



「あ、」

「クモか。なるほど」

「……何かまだまだ付いてそーな気がしてきた……」

「まあ、その有り様だと、そうだろうな」

「そんなにひどい?」

「一体どこの戦場から来たのかと思うくらいには」

「げ〜」



 指を振って糸を散らし、苦笑する。もう一回伸びてきた手が、今度は髪をかき回すように、撫でてくれた。

 褒められたような気がして、悪くない。

 たぶん埃だらけだろうけど、笑ってやったら、呆れた仕草で肩をすくめた。



「何ならシャワーでも浴びていくか?」

「マジ、いいの?」

「その格好で帰すのもさすがにな……はる香さんに、何ごとかと思われそうだ」

「別にママ、今さらこれくらいじゃ何にも言わないけど」

「……お前らしいよ、それは実に」

「でもシャワーは貸して」

「ああ」

「やった! サンキュ、炎山!」



 勝手知ったる何とやら。許可を得るや、案内も頼まずに駆け出した脇から、呆れたような声がかかる。



『……覚えてろよ、とか言ってたくせに……』

「へ?」

『炎山くんに、八つ当たりするんじゃなかったの?』

「……そうだっけ?」

『いいけどね、熱斗くんがそれでいいんなら』

「うーん……そんな気もしたような……」

『まあ、気にならないんなら、もういいんじゃない?』

「…………いいか。あいつおやつもくれたし」

『……単純明快だね。何だか、君の遺伝子が電子変換に向いていたことがとてもよく理解できるよ』

「何ソレ、どういう意味?」

『ううん。気にしないで』

「まあ、ロックマンがそう言うなら」

『熱斗くんのそういうところが、僕、好きだよ?』

「……それって褒めてんのか?」

『もちろん』