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物体もじ。
物体もじ。
novelistID. 17678
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ロックマンシリーズ詰め合わせ

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「おお! デカオの作るカレーは絶品だぜ」

「確かだろうな?」

「この俺が保証するカレーが、まずいわけがないっ!」

「ふん」



 嬉しそうに笑う熱斗に、気づかず炎山も笑みを向ける。

 パソコンの電源を落とし、「少し、席を外す」と内線で連絡を入れた。別に区切りがついたというわけでもないのに、仕事中に席を立つのは一体どれだけぶりか……いやそもそも、今までそんなことをしたことがあったかどうか。
 脳裏に浮かべた、今日のうちにこなすべき業務とそれに合わせたタイムテーブルが、いそいそと扉の前に立って炎山を待つ熱斗の表情に、あっさりと廃棄処分の憂き目に遭う。

 予定が狂うことを、本来の自分はひどく嫌っていたはずなのに。

 そんな行動を起こさせたのは、自分を変化させた彼なのか、彼に変化させられた、自分なのか。


 連れ立って部屋を出る寸前、夕闇に沈んだ外の景色がちらりと見えた。





 大体が、自分の周りにあったものというのはすべて、理屈の上に積み重ねられたものであって。炎山にとっては理解も推測も容易なものでしかなかった。

 微塵の隙間もなく敷き詰められたその理屈には、ひとつひとつに正論という名前がついていて、それを不思議に思うことも、ましてや引き剥がそうなんて、考え付くこともなかった。


 それがいつの間にか、上に積み上げられていた予定調和という名の完璧な積み木細工はどこかに転がり落ちていて、ひび割れたその下から見たこともないものが芽吹いていた。

 その上に居座って、感情論という水を乱暴に、けれど惜しげもなく注いでくれた少年に向ける感情には、では、何と言う名をつけるのが相応しいのだろう?

 
 誰よりもよく動き、人一倍食べるのが好きなくせに、何も口にする気配のない炎山を気遣って、家に帰ることもせずに夕食の時間まで傍にいてしまうような、こんな考えなしで、やさしい彼には。



 さあどうしよう。


 もはや、最初にあったはずの調和の図など、もう自分は覚えてもいない。

 どんな予定調和なら、今のこの自分を満足させてくれる?




 言うなれば、彼に出会ったこと、そのものが人生の予定外。



 そう、自分が、そう感じることさえも。