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ふざけんなぁ!! 7

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皆、ゴジラを遠巻きに愛でるようなノリらしいが、書き込みや呟きも概ね好意的で、意外と静雄の桁違いな怪力に憧れる、男性ファンが多いのにも驚いた。

ネットに疎い静雄が何時気づくかどうか判らないけど、こんなにも皆に愛されているんだって事を、彼が知ったその時の反応を、帝人はちょっと楽しみにしている。



「ねぇねぇミカプー、これ凄い!! 何、皆新品みたいに綺麗!! ねぇねぇ皆見てぇぇぇぇぇ♪♪」

部屋を遊馬崎と物色していた狩沢が、最後部のカーテンを捲くった途端、狂喜乱舞の奇声を上げた。
其処には、推定200着はありそうな、オタク達の夢。
アニメキャラが纏っているコスプレ衣装が、洋服売り場さながらに掛けられてあって。
これが、この特別室の特徴でもあった。

「これ、着てもいいの?」
「勿論です」
「本当?」
「はい。ここ、実は来週から新装開店する予定の特別ルームの一室なんです。今日は皆で実際に遊んで、最後に要望や気になる点を細かくアンケートに記入するモニターをやる代わり、一切お代がかからないんです」
「すっごーい、みかぷーえらーい♪」
「凄いのは正臣ですって。ここも正臣の人脈ですから」
でも、一応釘もさしておかなければ。

「でも物損等の賠償責任は負う羽目になりますから。くれぐれも物を壊さず、汚さず破らないを心がけて、存分に楽しみましょうね♪」


賠償うんぬんは、静雄へ対してのやんわりとした防波堤だ。
肝心要なカクテル作りに熱中していた静雄には気づいて貰えなかったが、にやりと笑ったトムとばっちり目があってしまった。
でも、ぐっと親指を立てるゼスチャーを見せてくれたので、『任せておけ』の合図と思っていいだろう。
(お願いしますね)
そんな思いを込め、帝人もぺこりと頭を下げた。


「じゃ、私早速シャナやる♪ セルティさん、写して写して♪♪ あ、ゆまっち、そっちメロンパンある?」

セーラー服と日本刀、それと真っ赤な長髪ウイッグを抱え、いそいそと狩沢は更衣室へと消えた。
続いて遊馬崎ウォーカーが、自分用にボーカロイドKAITOの青い衣装を腕に持ち、初音ミクの黒衣装と独特な長い緑のツインテールウイッグと何故か長ネギの模型を手に、猛ダッシュで彼女の後を追いかけた。

「狩沢さん、こっちにしましょう。シャナだと俺、ペアコスプレできないっす!!」
「あー、判った判った。撮影して貰ったらそっち着るから、其処に置いといてぇ」
「はいっす♪♪」


「……渡草、本当にあの二人、あれでつきあってねーの?……」

ソファーにどっかり腰を降ろし、電話帳よりも分厚いカラオケの選曲集をぺらぺらと捲くりながら、田中トムが顎をしゃくる。
だがカラオケの機械に飛びつき、入念にマイクの音調整に走る渡草の目は血走っていて、彼にとってどうでもよい問いかけなど、一切耳に届いてないようだ。


「セルティィィィィ♪ 折角だからこれ、君も着てみない……ぶふぇ、ひべしっ!!」
どさくさ紛れに純白のウエディングドレスとえっち臭いガーターベルトとストッキングを腕に抱え、嬉々として戻ってきた新羅は、腹に地獄突きを食らって轟沈していた。
例え恋人だろうが、人前で堂々とエロ下着を強請る奴になど、同情の余地はない。


「それでは皆様、今から『第一回チーム対抗、紅白カラオケバトル』を始めたいと思います♪」

乾杯と同時に、まずはがっつり料理を食べだした面々だが、イベント開始という事で、一斉に拍手が巻き起こる。
帝人は照れつつも、ステージに上がりマイクを手に持ち、にこにこと紙に書き出してきた今日のルールを読み上げた。


「赤が門田チーム、白が平和島チームで交互に歌い、2順し、合計16曲終えた段階の総合点で、優勝が決まります。
選曲は独自でやるのではなく、すべてこれ……、ここにくじが入っていますので、まず各チームの歌い手さんに引いていただきます」
帝人が準備したのは宴会等で使われる、一抱えある紫色の大きな四角い箱だ。
てっぺんに、成人男性の手が出入りできるサイズで丸く抉られていて、中はガチャガチャに使われる小さなカプセルが、ぎっしり一杯詰まっている。

「このカプセルの中には紙切れが一枚ありまして、曲と衣装の番号だけ書かれてます。其処の衣装ルームで番号通りの服に着替えてから、どんな歌が飛び出すか判らない状態のまま、このステージで歌っていただきます♪ 採点は機械がやるし、女歌男歌、一切配慮はありません。ちなみにコスプレ拒否の場合は、チーム総合点から、自動的にマイナス100点となりますので、皆様仲間にボコられないよう、運を天に任せ、ドキドキ覚悟して引いてくださいね♪」

途端、気が小さい静雄と、常識人な門田とトムの顔色が悪くなった。

「……竜ヶ峰、俺の目には圧倒的に女物の服が多い気がするんだが……」
「大丈夫大丈夫門田さん♪ 衣装はフリーサイズですし、遊馬崎さんがいつも言ってるじゃないですか。二次元は正義なんだそうですよ♪ 非日常は最高です♪」
「帝人、マジでやるのか? 俺はセーラー服なんて、絶対着ねぇぞ」
「静雄さん、敵前逃亡は男らしくないですよ。所詮ゲームなんですから、三時間を目一杯楽しみましょう♪」
「帝人ちゃん、俺、今風の歌なんて、全然わかんねーんだけど」
「へっちゃらですってトムさん。何処かで耳にした有名曲しかクジの中に入ってないそうです。最悪、大抵の曲、ガイド機能が使えるって、正臣が言ってましたし」


ぐだぐだごねる男達を、やんわり説き伏せるのも楽しかった。
帝人もこの時はまだ、結構ノリノリだったのだ。
だってこんな周りくどい闇鍋状態なカラオケ企画なんて、店にもともとあったメニューなんかじゃない。
正真正銘、昨日正臣と二人して考えた、合作のアイデアだったのだから。


★☆★☆★


「馬ぁ鹿。帝人、よーく考えてみろ。渡草さん、遊馬崎さん、狩沢さん達相手にさ、カラオケビギナーな静雄とお前が、ただ闇雲に向かってって勝てると思うか?」

学校の廊下で、個人面談待ちな正臣に言われ、ハタと気づいた。
確かに無理だ。
だって、敵はアニソンオタク二人に、『聖辺ルリ様親衛隊』の幹部である。
カラオケ遊びなんて日常茶飯事だろう。

「ううううう、じゃあ、頼りは正臣だけ?」
「諦めろ、俺は今日深夜までバイトが入っている。静雄のささやかな幸せごときの為なんかで、急に休める訳ないだろが」
「んじゃ、初っ端に門田チームを解体して、こっちのとミックスにする」
「止めとけ。あの人達のカラオケ時のウザさ、お前はしんねーだろうが結構強烈だぜ。一纏めにして門田さんに預けとけ。そうしないと静雄がまず切れて、メチャメチャになるぞ」
「ううーん……、でも、勝ち目の皆無なゲームなんて、全然盛り上がる訳ないじゃない。戦意喪失した静雄さんなんて、静雄さんじゃないし」
「ま、そりゃそうだよな」
「どうしよう?」

眉間に皺を寄せて考え込んでいると、ぴしっと額を指で叩かれた。

「こらこら帝人、【女帝】とまで言われたお前の頭は飾りか? 勝ち目がなけりゃ、作りゃいいだけだろ。何でもいいから、思いついた事言ってみ。この正臣さまが纏めてやるよ」

もう門田達にメールを送ってしまった。
作品名:ふざけんなぁ!! 7 作家名:みかる