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ふざけんなぁ!! 7

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正臣はこの頃渡米しているし、後の知人は杏里だけなのに、彼女が一人でライブに行きたがるかどうか判らず、きっと譲り渡す先も無い。

静雄も、アニメや声優に興味ない上、騒がしい所は苦手だ。
幽が手配してくれたチケットだと判れば、弟大好きな人だから、義理堅く出かけるかもしれないけれど、その時はきっとトムがまき沿いで。
彼だって、切れそうな静雄を宥めながら七時間抑えていられる自信なんてないだろうし、そんなのどんな苦行だよって話だ。

(あー、いっそ、もうこのまま進呈した方がいいかも)
そう頭によぎった正にその時だった。


「ちなみにそれ、ダフ屋を介しても手に入れられるかどうかの代物だからね。臨也経由で上手く売れば、あいつの手数料差し引いたって、一枚10万~20万は確実じゃない?」
途端、ネコミミライダーが高速でPDAに文字を入力する。
『凄い!! なら新羅、是非私を温泉旅行に連れて行ってくれ♪ 鎌倉か熱海がいい♪♪』
「OKセルティ♪ 君の願いは全て私の目標さ♪」

とらぬ狸の皮算用で、キャッキャウフフと盛り上がる恋人の会話に、帝人の耳もダンボになった。

だって10万!!


それだけあれば、静雄と折半している食費だって、切り詰めれば五ヶ月も食い繋げる。
彼のうっかりな抱擁で、いつバキバキとあばら骨を折られるか判らないスリル満点な生活を送る帝人にとって、二学期にアルバイトにいける体かどうかの保証なんて無い今、是非とも欲しい蓄えだ。



「静雄さんトムさん、絶対門田チームに勝ちますよぉぉぉぉぉぉぉ!! 」
気合の入った帝人の迫力は、渡草達三人のと寸分たがわぬレベルまで跳ね上がっていた。


作品名:ふざけんなぁ!! 7 作家名:みかる