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【マギ】夜闇の中に消えた【シンジュダ?】

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 尚も何か言おうとするジャーファルの声を遮り、俺は視線だけそのままに訊ねた。
「俺は良い王だと思うか?」
 ジャーファルは、驚いたらしい。暫くの間があって、答えは静かに返って来た。
「…それは、私ではなく民が決めることかと。」
「最もだな。」
「ただ、個人的なことを言わせて頂ければ――」
 そこでジャーファルは言葉を切った。微笑んだ気配があって、続ける。
「――あなたは正しいと思いますよ。」
「…そうか。」
「はい。」
「…いや、いいんだ。すまない、変なことを訊いたな。」
「いえ…それより、私のことはいいですから早くお休みになられて下さい。もう何時間も寝られませんよ。」
「ああ、そうするよ。」
 それでは。パタンと扉が閉められる音と共に、俺は窓から部屋へと視線を戻した。がらんとした室内。ちょっと前までジュダルが居て、さっきまでジャーファルが居て、今は1人きり。
 王というのはそういうものだ。けれどもう少し、誰かが俺を求めていてくれるのなら。正しいと言ってくれるのなら。
 去り際のジュダルの言葉が頭の中で再生する。
『お前ってさー、やっぱり強い奴だと思うぜ。』
 強いままでいるのもいい。
 窓の外では、相変わらず月が光っていた。煌々と、煌々と。