こらぼでほすと 漢方薬1
ハイネは、あっちこっち、指示を出しながら、エクシアに何度も呼びかけている。それを見て、ニールが、そのマイクに向かって、「刹那、状況を報告しろっっ、」 と、怒鳴ったら、即座に相手からの通信が開いた。
「なぜ、そんなところにいる? 」
「うるせぇー、そんなことより、現状報告が先だ。説明しろ。」
「システムの不備が起こって、人革連のレーダーにひっかかった。そこから海中へ潜航したが、エクシアの右腕が稼動不能になった途端に、システムエラーで酸素が循環しなくなった。ギリギリまで、潜航して戻ったが、特区より200キロほど手前で酸素が尽きたので浮上して、水面すれすれを最高速で飛ばしてきた。隠蔽皮膜も、右腕部分には作動していないから、察知されている可能性がある。今、それを確認中だ。・・・・ニール、なぜ、そこにいる?」
「右腕の隠蔽皮膜は、人革連にいる時から作動してなかったのか? 」
「おそらく、システムエラーした段階だ。」
「潜航深度は?」
「大陸棚程度だから、二百から四百。」
「まずい、そこなら、レーダーが設置されている可能性がある。」
「気付いたのは、破壊してきた。」
「遠方まで確認できてないだろーがっっ。なんで、その段階でもエマジェンシーコールを出さないんだよっっ。ここまでの足取りが捕まれたら、ここに迷惑かかんだぞっっ。」
「すまない、気が動転していた。そこまで考えが到らなかった。」
「他のシステムは生きてるか? 」
「ああ。」
「ひとまず、邪魔だからラボのドックへ移動しろ。」
「了解した。」
ギクシャクとだが、エクシアが起き上がり移動する。どうやら火事は庭の木だけのようだ。それを確認して、ドックのマードックにも連絡する。
「マードックさん、エクシアが入ります。システムエラーの原因は、右腕。外装温度は、かなりの高温です。冷却してください。・・・・それから、刹那、おまえの飛行経路のデータをチップに落としておけ。」
唖然とするハイネを他所に、ニールが指示を飛ばす。おまえ、今朝まで、ぼろぼろだったんじゃないのか? と、内心でツッコミはした。シンは、「漢方薬ぱねぇー」 とは、叫んだ。
「消火入ります。」
「レイ、化学剤は必要ない。水だけで十分だ。」
「了解です。」
ようやく、ハイネもレイの声に反応する。シンのほうは、エターナルとの通信が繋がった。こちらも、状況説明を開始する。
作品名:こらぼでほすと 漢方薬1 作家名:篠義