こらぼでほすと 漢方薬2
連絡を受けたキラは、プラントからの帰路に着いていた。寝ていたところを叩き起こされたので、やや不機嫌だが、状況の説明を受けると、きゅぴーんと種割れモードに突入して、すぐにシステムにかじりついた。
「シン、エクシアの飛行経路のデータを、ストライクに逆から走査させて。そのデータを、僕に逐一送れるようにして。それから、こっちから、情報操作できない部分は、きみとレイにやってもらう。わかったね? やり方は、すぐに送るから。アスラン、僕のフォローと、やり方を送って。パックにして起動させられるようにしてあげて。データは、これ。」
エターナルにも、大明神様のオモチャデータは、きちんと収納されている。そこから、アスランが操っている端末へデータを送りつける。それと同時に、把握している限りのマザーとの連絡ツールを立ち上げる。さらに、ラボとオーヴのマザーも、別口でお呼び出しだ。
キラは、聖徳太子並の稼働率だ。さっさかと手を動かして、アスランに指示を出す。さらに、イザークとディアッカもフォローに入る。エクシアの存在は、今のところ、絶対に知られてはいけない。各国のマザーに潜ませているプログラム(通称 ロクロクちゃん)も、起動して、エクシアに関する情報もチェックする。それらをチェックすると、即座に、別のMSの情報と入れ替えていく。何かが通過したという事実は消せないが、その何かの部分を改竄させることは可能なのだ。それも、キラぐらいの能力が必要にはなるが、できないことではない。
「虎さん、最大戦速で地球へ向かってください。大気圏降下直前で待機願います。」
大気圏突入をすると、通信が乱れてしまうから、事態が片付くまで、降下はできないが、それでも地球に近いほうが、通信速度も早いから、アスランが、指示を出す。虎のほうも、だらだらと安全速度で動かしていたエターナルを叩き起こす指示を出す。
「やっぱり、右腕か。」
「あーもーだから、直してもらいなさいって、僕、言ったのに。」
ぶつぶつと文句を言っているが、エクシアの不具合は、キラの腕ちょんぱが原因だから、文句を言っても誰もフォローできない。自業自得だ。
「アスラン、人革連のマザーの確認が終ったら、軍のほうのもやって。そっちは、ロクロクがあるけどミニロクだからね。」
「わかった。イザーク、俺の代わりに、キラのフォローを頼む。」
「了解だ。キラ、俺が入るぞ。」
臨戦態勢になると、イザークも、言葉遣いとか地位とか、そういうものは無視だ。とにかく、エクシアの映像を全部、切り替えしなければ、確実に、『吉祥富貴』にも余波が来る。それだけは避けなければならない。証拠がなければ、歌姫が、「それは、うちのではありませんけど。」 と、爽やかにしらばっくれてくれるからだ。
「エクシアは、うちでは無理だね。ディアッカ、シンに、そう言って。」
「オーケー。そっちの手配は地上でしてもらうか。」
エクシアのオーバーフォールは、すべて、オーヴの秘密ファクトリーで行なわれていた。ラボの整備スタッフは、キラたちのMSに関しては完璧だが、違う理論で作られているエクシアに関しては、難しい。単純な修理はできても、こういう場合は対処が出来ない。
ラボのほうにも、キラからの指示が届いた。エクシアから飛行データを取り出したデータチップは、即座に戻って来たストライクに持ち込まれる。
「レイ、交代だ。おまえとシンで、キラが漏らしたレーダーサイトのチェックと改竄をやれ。俺が、飛行データの遡及をやる。それで、ヒットするサイトを片っ端からチェックしろ。」
ついでに、ハイネが人革連のほうの動きも探ってくる。こういうのは適材敵所だから、交代だ。
「それから、ママニャンがせつニャンの管理と、ファクトリーとの連絡係を担当する。緊急だから、今だけは放置しとけ。」
「え? 」
「せつニャンの取り扱いは、あいつにしか無理だ。店が引けたら、鷹さんが戻って来るから、そこで交代させる。」
そこまで徹底するか? と、ハイネも呆れた。他の人間の呼びかけについては、完全無視なのだ。今は、エクシアの不具合のチェックをやっているが、それもハイネではなく、ニールの指示だからやっている。これが終ったら、ファクトリーへ移動させるのだが、その指示も、おそらく、ニールの言うことしか利かないだろう。利かん坊とは、よく言ったものだ、と、感心した。
少し休憩して、管制室に戻ったら、そこでシンが、種割れモードになっている。近くのシートで、ニールもファクトリーとの連絡をしている。
「シールドが貼れない場合、どうやって・・ああ・・・はい。わかりました。マードックさんに、それを。はい。」
「ニール、なぜ、そこで働いている?」
「うるせぇー知りたかったら、さっさと、全走査終らせろ。」
刹那は、なんだか心配そうにしているが、ニールは思いっ切り、それを無視する。時間との勝負だから、くっちゃべってる暇はないらしい。いつもなら、怪我は、ごはんは? と、世話をするのに、それができないくらいの状況だ。
「レイ、ハイネの拾うデータの前に、ここまではクリアーなんだ。」
もちろん、シンも、刹那のことは無視だ。まずは、データ改竄だ。レイも了解、と、そちらのデータをチェックする。
エクシアのエンジン自体には支障がないから、問題点は右腕と、隠蔽皮膜が被れないところだ。右腕を切り離してしまえば、その部分でレーダーにはひっかからないが、システムの不具合に関しては、ファクトリーへ持ち込まないと、どうにもならない。
「とりあえず、別のシールドを被せちまうのが手っ取り早いな。オーヴまでなら、それで保つはずだ。」
「じゃあ、それでお願いします。うちのバカは、こき使ってください。」
「あんたんとこのぼっちゃん、疲れてるだろ? 」
「これぐらいでへこたれるようじゃ、マイスターはやれませんよ、マードックさん。どちらにせよ、内部からの操作は刹那にしかできません。」
エクシア内部からの操作は、生体認証を受けている人間が必要になる。だから、いつも、刹那がコクピット居座って、他のものが整備しているのだ。
そして、刹那からの通信は無視する。元気そうだから、問題はない。まず、やるるべきことをしてもらわないと、こちらも終らない。
「お疲れさん、休憩しな。」
「おかえりなさい、鷹さん。店は、もう終わりですか? 」
コーヒーを手にした鷹が現れる。シンやレイにも手渡してやっている。こちらも、特区周辺のレーダーサイトのチェックと改竄は終ったので、ちょっと気は抜けてきた。そこさえ、誤魔化せば、後は、どうとでもなる。それに、宇宙から大明神様が大本のマザーには侵入しているはずだ。
「まだ終ってないけど、ひとまず、俺だけ戻って来た。ママの代わりだ。」
「俺は大丈夫です。他のフォローをお願いします。」
「元気そうだな? もっと、ボロボロだと思ってたぞ。」
「効いてるみたいですよ? 漢方薬。」
「ほおーすごいもんだなあ。・・・ま、そういうことなら、もうひと踏ん張り頼めるか? せつニャンをファクトリーへ輸送してくる。」
「シン、エクシアの飛行経路のデータを、ストライクに逆から走査させて。そのデータを、僕に逐一送れるようにして。それから、こっちから、情報操作できない部分は、きみとレイにやってもらう。わかったね? やり方は、すぐに送るから。アスラン、僕のフォローと、やり方を送って。パックにして起動させられるようにしてあげて。データは、これ。」
エターナルにも、大明神様のオモチャデータは、きちんと収納されている。そこから、アスランが操っている端末へデータを送りつける。それと同時に、把握している限りのマザーとの連絡ツールを立ち上げる。さらに、ラボとオーヴのマザーも、別口でお呼び出しだ。
キラは、聖徳太子並の稼働率だ。さっさかと手を動かして、アスランに指示を出す。さらに、イザークとディアッカもフォローに入る。エクシアの存在は、今のところ、絶対に知られてはいけない。各国のマザーに潜ませているプログラム(通称 ロクロクちゃん)も、起動して、エクシアに関する情報もチェックする。それらをチェックすると、即座に、別のMSの情報と入れ替えていく。何かが通過したという事実は消せないが、その何かの部分を改竄させることは可能なのだ。それも、キラぐらいの能力が必要にはなるが、できないことではない。
「虎さん、最大戦速で地球へ向かってください。大気圏降下直前で待機願います。」
大気圏突入をすると、通信が乱れてしまうから、事態が片付くまで、降下はできないが、それでも地球に近いほうが、通信速度も早いから、アスランが、指示を出す。虎のほうも、だらだらと安全速度で動かしていたエターナルを叩き起こす指示を出す。
「やっぱり、右腕か。」
「あーもーだから、直してもらいなさいって、僕、言ったのに。」
ぶつぶつと文句を言っているが、エクシアの不具合は、キラの腕ちょんぱが原因だから、文句を言っても誰もフォローできない。自業自得だ。
「アスラン、人革連のマザーの確認が終ったら、軍のほうのもやって。そっちは、ロクロクがあるけどミニロクだからね。」
「わかった。イザーク、俺の代わりに、キラのフォローを頼む。」
「了解だ。キラ、俺が入るぞ。」
臨戦態勢になると、イザークも、言葉遣いとか地位とか、そういうものは無視だ。とにかく、エクシアの映像を全部、切り替えしなければ、確実に、『吉祥富貴』にも余波が来る。それだけは避けなければならない。証拠がなければ、歌姫が、「それは、うちのではありませんけど。」 と、爽やかにしらばっくれてくれるからだ。
「エクシアは、うちでは無理だね。ディアッカ、シンに、そう言って。」
「オーケー。そっちの手配は地上でしてもらうか。」
エクシアのオーバーフォールは、すべて、オーヴの秘密ファクトリーで行なわれていた。ラボの整備スタッフは、キラたちのMSに関しては完璧だが、違う理論で作られているエクシアに関しては、難しい。単純な修理はできても、こういう場合は対処が出来ない。
ラボのほうにも、キラからの指示が届いた。エクシアから飛行データを取り出したデータチップは、即座に戻って来たストライクに持ち込まれる。
「レイ、交代だ。おまえとシンで、キラが漏らしたレーダーサイトのチェックと改竄をやれ。俺が、飛行データの遡及をやる。それで、ヒットするサイトを片っ端からチェックしろ。」
ついでに、ハイネが人革連のほうの動きも探ってくる。こういうのは適材敵所だから、交代だ。
「それから、ママニャンがせつニャンの管理と、ファクトリーとの連絡係を担当する。緊急だから、今だけは放置しとけ。」
「え? 」
「せつニャンの取り扱いは、あいつにしか無理だ。店が引けたら、鷹さんが戻って来るから、そこで交代させる。」
そこまで徹底するか? と、ハイネも呆れた。他の人間の呼びかけについては、完全無視なのだ。今は、エクシアの不具合のチェックをやっているが、それもハイネではなく、ニールの指示だからやっている。これが終ったら、ファクトリーへ移動させるのだが、その指示も、おそらく、ニールの言うことしか利かないだろう。利かん坊とは、よく言ったものだ、と、感心した。
少し休憩して、管制室に戻ったら、そこでシンが、種割れモードになっている。近くのシートで、ニールもファクトリーとの連絡をしている。
「シールドが貼れない場合、どうやって・・ああ・・・はい。わかりました。マードックさんに、それを。はい。」
「ニール、なぜ、そこで働いている?」
「うるせぇー知りたかったら、さっさと、全走査終らせろ。」
刹那は、なんだか心配そうにしているが、ニールは思いっ切り、それを無視する。時間との勝負だから、くっちゃべってる暇はないらしい。いつもなら、怪我は、ごはんは? と、世話をするのに、それができないくらいの状況だ。
「レイ、ハイネの拾うデータの前に、ここまではクリアーなんだ。」
もちろん、シンも、刹那のことは無視だ。まずは、データ改竄だ。レイも了解、と、そちらのデータをチェックする。
エクシアのエンジン自体には支障がないから、問題点は右腕と、隠蔽皮膜が被れないところだ。右腕を切り離してしまえば、その部分でレーダーにはひっかからないが、システムの不具合に関しては、ファクトリーへ持ち込まないと、どうにもならない。
「とりあえず、別のシールドを被せちまうのが手っ取り早いな。オーヴまでなら、それで保つはずだ。」
「じゃあ、それでお願いします。うちのバカは、こき使ってください。」
「あんたんとこのぼっちゃん、疲れてるだろ? 」
「これぐらいでへこたれるようじゃ、マイスターはやれませんよ、マードックさん。どちらにせよ、内部からの操作は刹那にしかできません。」
エクシア内部からの操作は、生体認証を受けている人間が必要になる。だから、いつも、刹那がコクピット居座って、他のものが整備しているのだ。
そして、刹那からの通信は無視する。元気そうだから、問題はない。まず、やるるべきことをしてもらわないと、こちらも終らない。
「お疲れさん、休憩しな。」
「おかえりなさい、鷹さん。店は、もう終わりですか? 」
コーヒーを手にした鷹が現れる。シンやレイにも手渡してやっている。こちらも、特区周辺のレーダーサイトのチェックと改竄は終ったので、ちょっと気は抜けてきた。そこさえ、誤魔化せば、後は、どうとでもなる。それに、宇宙から大明神様が大本のマザーには侵入しているはずだ。
「まだ終ってないけど、ひとまず、俺だけ戻って来た。ママの代わりだ。」
「俺は大丈夫です。他のフォローをお願いします。」
「元気そうだな? もっと、ボロボロだと思ってたぞ。」
「効いてるみたいですよ? 漢方薬。」
「ほおーすごいもんだなあ。・・・ま、そういうことなら、もうひと踏ん張り頼めるか? せつニャンをファクトリーへ輸送してくる。」
作品名:こらぼでほすと 漢方薬2 作家名:篠義