こらぼでほすと 漢方薬2
「くくくく・・・珍しいな、泣き言か? 」
「あれ、すごいんですよ? 虎さんも試してみれば、どうですか? 」
「俺は、どこも弱ってないから飲む意味がないだろ。自業自得だ。諦めろ。」
そう言われてしまうと言い返す言葉もない。ううっと意味不明に呻いてみるぐらいが関の山だ。
「アイシャに、口直しでも調達させてやるから我慢しろ。」
「シンとレイが、そこにお菓子を持って来てくれましたから、もういりません。」
あの液体のまずさに、毎回、すごい顔をしているので、見かねて、シンとレイが別荘のスタッフから口直しになりそうなお菓子を調達して来てくれた。だが、そんなもので、あの後味は薄まらないし、食欲のないニールには、それすら食べる気にならないので、サイドテーブルに放置されている。ふたりとも、手伝わせたことでダウンさせたから、かなり気を遣ってくれている。それも申し訳なくて、ニールのほうは、居辛い気分だ。
「あいつらも、そろそろ指揮することを覚えさせるべきなんだろうが、なかなか、そこまでできてなくてな。」
「シンとレイも、かなり焦ってましたからね。」
まだ年代的に、部下がいるような地位にはないから、シンとレイは、専ら使われるほうがメインになる。そのふたりで、あの状況で、ラボの采配は難しい。そこいらも、今後の課題だ。
その夜に、ようやくエクシアはラボへ戻って来た。キラとアスランは、オーヴの小型艇で戻ってきて、そのまま、店のほうへ出たので、ラボには戻ったのは、黒子猫だけだ。深夜という時間ではなかったが、エクシアを格納して、なんだかんだと雑用をしていたら、遅くなってしまった。そのまま、別荘のいつも使っている部屋に戻ったら、親猫は寝ていた。真っ暗な寝室に入って、黒子猫は、親猫の寝ている場所の横に入り込む。さすがに、疲れた。ここへ戻ってから、ファクトリーへ遠征して、怒涛の展開だったから、黒子猫も仮眠しかしていなかった。くーすか寝ている親猫の体温を感じる場所に、横になると、それだけで安心して眠りが訪れる。ようやく安心して眠れる場所に辿り着いた。ここだけは、黒子猫にとって、なんの警戒もしなくて居られる巣のようなものだ。
翌日、黒小猫より先に、親猫は目を覚ました。となりに黒子猫が転がっているのには驚いたが、戻って来るとは聞いていたので、そのまま、その寝顔を眺めていた。少しずつ大きくなっていく。逢うたびに、それを実感するのは楽しい。それに、誰にも懐かなかったはずの黒子猫は、親猫の傍なら熟睡してくれるようにもなった。これも、嬉しいことだ。それだけの信頼関係が築けたことは、親猫にも喜ばしい。
・・・・なんか、また、薄汚れてるな。起きたら、風呂に入れて食事かな。・・・・
どうせ、ファクトリーでも、まともな休憩をせずに修理をしていたはずだ。疲れているだろうから、たっぷりと寝かせてやらないと、と、親猫がベッドから静かに起きて離れる。看護士が、親猫を起こしに来るから、先に自分が、寝室から出て居間へ移動しておくことにした。
作品名:こらぼでほすと 漢方薬2 作家名:篠義