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永遠に失われしもの 第12章

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ウィルの元に、同じような黒スーツの死神
 が近づき、耳元で囁いている。


「グレル・サトクリフ、以下チームの者、
 ローマでの火災の魂回収に向かいますよ。

 アレによってもたらされた火災なので、
 注意深く回収お願いします」


「あのガキどうすんのよ?・・」


「悪魔が自力でここから脱出するのは
 不可能ですし、
 あの様子からみて、アレを呼び出すのには
 まだ時間がかかります。

 これが今日最後の仕事に
 なればよいのですが・・・

 行きますよ」


 ウィルはさっとデスサイズで
 空間を切り開き、その光の中に瞬く間に
 消えていく。


「待ってョ~~~」


 続いて、腰まで届く真紅の長い髪を
 なびかせながら、グレルや他の死神も
 次々飛び込んで、消えていった。


 白くぽっかりと開いた空間の奥の部屋では
 シエルが呻きながら絶え間なく続く苦痛と
 どうしようもなく身の内からでる渇望に、
 苛まされていた。


 ・・呼べ・・・・呼べ・・

 
 ・・僕を押さえつける手・・

 焼け付く烙印がじりじりと近づいてきて
 腰の上の空気を熱くしていく・・・

 ・・これは悪夢だ・・
 昔毎晩のように見た・・
 僕は檻に入っていて、
 必死に叫んでいる・・心の中で・・


 助けて・・と
 
 そしてあの漆黒の悪魔を・・
 ・・呼んだのだ・・

 毎晩続けられた、
 凌辱の日々に終止符を打つために・・


 僕を地に這わせ、
 この身を自由に穢した者どもを・・
 僕を貫き、
 白濁した汚れた液で
 僕を満たした者どもを・・


 殺せっ!!・・殺せっ!・・


 僕の口でさえ、自由に犯した者を・・


 ・・口中に差し込まれる舌・・
 絡み付き、舐め上げ、口中を満たす・・

 セバスチャンの指が僕の後ろ髪を
 強く抑えつけ、
 その冷たい頬が唇のわきに触れる・・

 
 冷酷で熱情のない瞳と裏腹な、彼の舌使い
 湧き出る歓喜と甘美な渇望・・

 
 ・・欲しい・・何もかも・・
 その石のような心の奥底まで・・


 お前も欲しいのだろう?・・僕を・・
 
 呼べ・・ 呼べ・・

 誰を?・・

 セバスチャンを?
 僕を?・・・・


 
 シエルを監視していた死神が、
 窓の外を一瞬眺め、また床に視線を戻すと
 すでに、床で手かせ足かせを嵌められ、
 薬物に自我を崩壊させかけていたはずの
 シエルは、忽然と姿を消していた。