帝人受けまとめ
臨帝 五月病
どうしてこう、この人はこうなのだろう。
帝人は腰に手を当てて、深い深いため息をこれ見よがしについて見せた。
「臨也さん・・・何やっているんですか」
デスクの上に身体を預けて指先でチェスのコマを弄っている駄目な大人の目の前に、帝人は資料をいくつか山住で置いた。
「だらだら・・・している」
「それは見たら解ります。僕はそんなことを聞いている訳じゃないんですけど」
「いやぁ、なんて言うの?この時期ってどうもこう、やる気がそがれるって言うか」
にやにやと笑いながら見上げてくる臨也に、帝人はまたため息を吐いた。
「言い訳しないで仕事してください。僕のアルバイトも掛かってるんですけど」
「えー・・・めんどい」
駄目な大人ってこういう事を言うのだろう、と帝人は思った。
そして同時に、こういう事を言っても生きていられる臨也は本当に、認めたくはないが凄い人間なのだろう。
まったくもってムカツキ以外の何ものでもない。
「帝人君がキスしてくれたら俺、やるよー」
それに、何かおかしな日本語を話しているし。本当にむかむかする。
「五月病患者はとっととその怠惰を直してください。まったく、波江さんがいないのがこんなに大変だなん、」
言葉が途切れる。否、途切れざるをえなかった。一瞬、目を離したことが悔やまれる。
気が付いたら目の前には臨也の顔があり、唇には柔らかい感触。
「ん。じゅーでんかんりょー!よし、がんばろうかなー」
臨也はニッコリと笑いながら、身体を伸ばして帝人が先程置いた資料集に手を伸ばす。
帝人は自分の唇を指で触りながら、呆けた頭で臨也を見つめた。
臨也の、光りの加減によって紅く変わる瞳と視線が合う。
「っ!臨也さんのばか!」
「ん?ふふ、隙だらけの気味が悪い」
五月病患者とか、絶対に嘘だ!わざとだ!と帝人は心の中で絶叫した。