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三ムソ詰め合わせ

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「よしよし」

 あ、ものすっげー嫌な顔された。

「なんですかいきなり」
「いやなんとなく」
「首痛そうですね」
「嫌味か」
「それ以外の何に聞こえます?」

 つんつんとまぁつれない。
 たしかに俺と姜維の身長差は20センチ、それも悲しいながら俺のほうが低いわけで。

「体格は俺のがいいのになぁ。不思議だよなぁ」
「上にいくぶんが横に行ったってだけでしょう」
「それだと太ってるみたいじゃん。やっぱ鎧のせい?」
「今更無駄だと思いますよ」
「いやいやわかんないよー?遅めの成長期きちゃうかも」

 俺は顎に手を当てて、ちょっと真剣に鎧を変えようか悩んでたら、思ったよりも固い感触のてのひらで頭を撫でられた。
 ちょっとびっくりして見上げたら、姜維が行き場を無くした右手を左手で不自然に押さえて変な顔をしていた。見たことない顔。

「なんですか。私の顔に何か付いてます?」
「うんうん。見たことない可愛げある貌がくっついてる」

 すんごい嫌そうな顔された。いや寧ろ軽く引かれたっぽい?

「いや俺さー、蜀に来てからこっち、お前の顔なんて仏頂面しか見たことなかったからさぁ。やー、良いもん見た」

 フォローのつもりで、でも間違いなく本心からの言葉だ。

「眉間にしわ寄せて難しいことばっか考えてる顔よりかさ、俺は好き」
「別にあなたに好かれたいとか思ってません」
 すげなく言い捨てられた程度でめげるほど、俺の神経はか細くない。

「嫌われたいとも思ってないだろ?俺が勝手に好きなだけだからいーんだよ。…あ、あげ足取られて面白くない顔?今の。それもいいなー」
「正直鬱陶しいです」
「俺は楽しい。お前の色んな顔見れて嬉しいぜ?」

 ぎらっと睨まれた程度で以下略。

「ところでなんでいきなり頭撫でてきたんです」
「なんとなーく、猫みたいだなって。好きな相手にしか心開かないプライド高い野良、でもその好きな人から大事にされて良い餌もたくさん貰って、毛並みのきれーな奴。ふわふわでさ、ちょっとくらい引っ掻かれても良いから撫でてみたいな、って思ったんだ」


作品名:三ムソ詰め合わせ 作家名:海斗