こらぼでほすと 漢方薬3
トダカに連れられて戻って来た女房は、とても元気そうになっていた。本当に効くんだなあーと、坊主とサルは感心した。顔色もいいし、生気が溢れている。
「余計なことをするからだ。」
「ほんとうに。悟空も、ごめんな? 」
「明日から、弁当っっ。」
「はいはい、じゃあ、買出ししないと。一緒に行ってくれるか? 」
「うんっっ。」
「トダカさん、こっちで泊まってくださいよ。腕によりをかけて肴を作りますから。」
今日は、休日だ。明日が月曜日で、トダカも泊まることができる。随分と世話をかけたので、ここいらでお返ししよう、と、寺の女房は張り切っている。
「そういうことなら泊めて貰おうかな。いいかい? 三蔵さん。」
「好きにしてくれ。」
「それなら、お言葉に甘えよう。家から、いいのを持ってくるから、付き合ってくれ。」
トダカは、基本、吟醸酒の人なので、焼酎より、そちらが好みだ。寺には焼酎しかないから、飲みたい時は、家から運んでくることになっている。
「やっほーーーーっっいっっ。」
玄関から大声が響いて、キラとアスランが顔を出した。続いて、シンとレイも顔を出す。ようやく、寺にママが戻ったとのことで、顔を覗かせた。
「ママ、天ぷら食べたいな。かき揚げとか、おいもとか、はふはふしたらおいしくない? 」
「今から買出しに行くとこだったんだ。じゃあ、メインは天ぷらにするか。」
「ママ、買出しなら、荷物持ちは俺が。」
「ねーさん、俺も行く。」
わーわーと大騒ぎになっているが、はいはいねと、寺の女房が捌いて行く。トダカの荷物持ちに、シンとレイを指名して、他は近所のスーパーへ買出しだ。
「ニール、私のほうは荷物持ちはいらないんだが? 」
「まーまーそう言わずに。運転してもらってください、トダカさん。」
「分担を決めたほうがいいですね? ママ。」
「アスランは、キラと天ぷらの材料をピックアップしてくれ。シン、レイ、食べたいものは? 」
「俺、さんまの焼いたのが食いてぇー。」
「俺は、白身の魚の天ぷらがいいです。」
「よしっっ、そこいらは了解だ。じゃあ、いくぞーっっ。」
「「「「おーっっ」」」」
元気に全員が出かけていく。女房が帰ってくると、なぜか寺は人が集まる。ま、それはそれで楽しいと思うようになった坊主は、へらっと口元を歪ませて見送っていたりする。
作品名:こらぼでほすと 漢方薬3 作家名:篠義