二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第13章

INDEX|1ページ/11ページ|

次のページ
 

「で、何故ここに?」



 セバスチャンは、赤い天幕に包まれた
 シエルを抱えながら、
 葬儀屋の泊まるクイリナーレホテルの
 客室に立ち尽くしている。



「ロンドンの私の店の方が良かったかい?」


「いえ--それは」


 --あんな埃っぽいところに、
 ぼっちゃんを長い時間、
 居させたくはありません--


 --ともかく、ぼっちゃんのお召し替え
 をご用意してあげなくては--



 既に、ローマで滞在した
 ディンギルテッラホテルや、
 マントヴァ郊外の古城は死神やローマ警察
 の手中であろう、と彼は考えていた。



 --マントヴァの町屋敷か、
   ヴェローナの町屋敷--

 --いや、いっそシチリアか
 ブルージュまで、行った方が安全か--



 彼の顔をしばらく見つめていた、
 銀色の髪をもつ葬儀屋は、
 口を三角に開いて、笑いながら言った。



「ヒヒ、じゃ、執事君と伯爵には、ここで
 ちょっとお留守番を頼むねぇ...」


「は?」


 美形な、その顔に似合わない、
 ぽかんとした表情をするセバスチャン。



「小生はサンカリストに戻って、
 お仕事の営業をしたいのさ...

 あの数々の死体を、
 他の者に渡したくないからねぇ...

 あれは、絶対に小生が...グヒヒ」


「しかし--」


「それに君たちに、簡単に連絡がつく場所に
 いてもらいたいんだよ...

 伯爵からの依頼事の結果を伝えるために、
 一々、小生が君たちを探し回らなければならないのは面倒だからねぇ...」



 絶対に葬儀屋にとっては、
 前者の理由が八割以上占めているのだろう
 と考えつつ、セバスチャンは
 腕に抱えるシエルを見つめた。



--確かに、ぼっちゃんの状態からすると、
 あまり動き回るのは懸命ではありませんね


 
「それでは、行ってらっしゃいませ」


 ヒヒヒという笑い声と共に、また葬儀屋は
 よじれた空間へと消えていった。