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今の関係と未来の関係

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 以前のヒーローを辞めかけていた自分を怒らなかった。大好きな歌を認めてくれた。そうして今も、ずっと子供じみた私を頼りにしていると言ってくれている。
 自分はまだまだこの男には遠く及ばない。
(悔しい。すごく)
 まだ対等な関係にはなれていないことが。たとえ認められているのだとしても、それだけじゃ駄目なんだ。
 なにより自分が嫌だから。
(隣に立ちたい)
 今すぐ大人にはなれない。内面でもそうだけれど、外見もまだ充分とは言えない。
 今自分に出来ること。この男と共通してして、成長していけるヒーローも。彼が認めてくれた自分の歌も。もっとずっと頑張ってやる。
(そうしたら、いつか見てくれるよね)
 同じ位置につけたら。もう少し大人になれたら。仲間としての私じゃなくもっと別な意味で。
(ていうか、振り向かせる。絶対に)
 まだ余裕をもった微笑みを浮かべている虎徹にカリーナは挑むよな目で見上げた。少し怖じ気づくように表情の崩れる虎徹。
「なんだよ。もしかしてそれ気に入らないとか…」
「そうやって余裕ぶってたらいいわ。今のうちだけだから」
「は?何?何の話?」
 理解の及ばない虎徹は首を捻るばかり。そんな虎徹の様子を見てカリーナはちょっとだけ笑みを漏らした。自分の目的が達成される時も遠くないかな、と思いながら。
「じゃあね。プレゼントはまた今度」
「おお…て、また一緒に行ってくれんの?」
「当然でしょ。お礼貰ったのに何もしてないもん。これはアンタのためじゃなくてあたしの気が済まないからだから」
 さっきよりずっとすっきりした気分のカリーナは、渡された紙袋を軽く掲げてみせた。
「これ、ありがとね。それじゃあまた」
 くるりとターンしてカリーナは足取り軽く去っていく。残された虎徹は無意識に呼び止めるかのように腕を伸ばしかけて、けれど長い髪を揺らせながら去っていくカリーナの後ろ姿を見つめて宙ぶらりんのまま動きを止めた。少しの逡巡の後、
「またなー…」
 もう遠くに行ってしまった少女の背中に向けて伸ばしかけた手を振った。







「おはよう、カリーナ」
「おはよう」
「もう昨日はいきなり帰っちゃって。吃驚したんだよ」
「ごめんごめん。急にね、予定あったから」
「またいつものでしょー。忙しそうだよね。あんまり無理しちゃ駄目だよ」
「そうだよ。一緒に遊べなくなったら困る!」
「あはは。ありがとう二人とも」
「…ん?カリーナ、そんなキーホルダーつけてたっけ?」
「あ、初めて見た。確かこれって昨日のお店のだよね」
「う、うん。そうなんだ」
「この人形のシリーズ知ってるよ。イマイチっていうか微妙なセンスなんだよね」
「そうそう。本体はクマなんだけどそこに微妙なペイントがされてるんだよね。結局謎のキャラクターに見えたり、元々の表情も可愛くないし。人気なくていつも余ってるんだよね」
「これは虎模様か。てかさ、カリーナの趣味と違くない?買ったの?」
「え。いや私が買ったんじゃなくて、その。貰ったの。近所の、子供に…」
「ふーん。カバンに付けてあげるなんて優しいお姉さんじゃーん」
「まあね…」
「そうだ。今日こそ三人で寿司バー行こうよ」
「お、いいんじゃない?」
「私も!やっと行けるよー。嬉しい」
「決まりね。今日はちょっと小遣い奮発してもらったんだー。それからさ………」



作品名:今の関係と未来の関係 作家名:藍野ろの