こらぼでほすと せっちゃんはぴば
珍しく、親猫のほうから、「デートしようか? 」 と、誘われた。黒猫に、否やはな
い。そそくさと出かける用意をして、親猫と一緒に外出する。
「どこへデートなんだ? 」
「とりあえず、おまえさんの服と靴のサイズの確認だ。」
戻ってくる度に、多少、サイズが大きくなっているから、今回は、ちゃんと計らせても
らうと言う。いつもなら、近くのスーパーの廉価品なのに、なぜだか、ショッピングモー
ルまで遠征した。そして、いつもよりは高そうで若いもの向けのショップへ入る。あれや
これやと着せられて、腰周りとか股下とかも測ってもらって、ちょっとかっちりした服を
着せられた。
「なぜ、着替えるんだ? 」
「靴も合わせたいから。」
次に靴屋だ。そこでも、普段、ほとんど履いたことがない革靴を選んで、こちらも履か
されて外へ出る。
上から下に、親猫は眺めると、にっぱりと笑って頷いた。
「うん、なかなか大人っぽく決まったな。上等、上等。」
ニパニパと親猫は笑って、それからいつも買い物する廉価品の店で、普段着もいくつか
買ってくれた。ここから出かけると何ヶ月かは帰らないので、俺が着ていく服というのは
、そのまま汚れて捨ててしまうから、廉価品で十分なのだ。それなのに、なぜ、こんなホ
ストの時に着るようなものを着せるんだろうと思いつつ、靴も普段履きのものを探して買
った。そろそろ荷物が多くなってきたところで、休憩だと、カフェに入った。
「ここ、ワッフルが美味いんだってさ。どれにする? 」
「チョコとバナナとアイスのトッピング。」
「おう、じゃあ、それとアイスココアでいいな? 」
荷物は、かなりの量になっている。そんなに買い込むことはないだろうと呆れたものの
、親猫が嬉しそうなので黙っていた。この親猫、なんだかんだと俺のものを用意するのが
楽しいのだと言う。一年に何度かしか顔を出さないから、成長を考えて準備してくれてい
るのが常だ。
「ニール、あんたのはいいのか? 」
「俺? 俺は、おまえさんと違って、適当に買い足しているし、もうサイズは変わらない
からな。それほど必要じゃないんだ。」
「俺が着れなくなった服は、どうしているんだ? 結構あるだろ? 」
戻ってくる度に、何かしら新しいものになっている。それからすれば、かなり廃棄され
ているはずだ。
「リサイクルできそうなのは、そうしてるし、無理なのは、雑巾にしたりするから、あん
まり捨ててないぜ。」
「ぞうきん? 」
「うん、Tシャツの布ってさ、吸水率いいんだよ。おまえさんの服ってさ、基本、Tシャ
ツかシャツに、布地のパンツだろ? だから、雑巾になりやすい。」
「ティエリアのもか? 」
「ティエリアは、ほとんどサイズが変わらないから、季節的に足りないものを買い足すぐ
らいだ。」
「フェルトは? 」
「ラクスが、ほとんど準備してるし、そのまま持ち帰りさせてるから、こっちで処分する
ことってないな。」
「俺のだけ、雑巾か? 」
なんだか、俺のだけが、雑巾にされていると言われると悲しい気分になったが、親猫は
、へらへらと手を振っている。
「おまえさんのだけじやないぜ。うちのは、みんな、古くなったらそうしてる。三蔵さん
の袈裟だけは、さすがに使えないけどなあ。」
確かに、黒の袈裟なんてものは再生利用できるものではないだろう。あれだけは、確実
に廃棄処分になるな、と、親猫は笑っている。ちょうど、ワッフルと飲み物がやってきた
ので、手をつける。親猫は、アイスカフェオレだけだ。
「少し食べろ。」
「はいはい。切り分けてくれ。」
ワッフルを適当な大きさに切り分けたら、親猫もフォークで、そこいらをつついた。季
節は春で、暖かくて、親猫の身体にも悪くない。のんびりとカフェでお茶をするには、い
い時候だと思う。
「なあ、刹那、他に欲しいものはないか? 」
「ない。」
「あっさりしてるなあ。ちょっとは物欲なんてものも湧かしてくれないかなあ、刹那さん
や。」
「これといって思い当たるものはない。」
と、答えてから、ふと浮かんだものがあって、それを口にしたら、親猫に苦笑された。
昨日のデザートに大きなババロアが出てきたのだが、新作でおいしかったのだ。
「ババロアね。わかった、明日、もう一回作ってやるよ。」
「あんたは年々、料理の腕が上がる。」
「そうか? おまえさん、せっかく、世界を放浪してるんだから、その土地、土地のもの
も食べてみたらどうだ? 」
「そこまで暇じゃない。」
世界の歪みを確認する旅をしているので、そこまで余裕はない。面倒だと携帯食で数日
、誤魔化す時もある。それに、わざわざ、そういうものを検索して店を探すのも煩わしい
。
「そういうのも、経験のひとつにはなると思うんだけどなあ。」
「あんたの料理で十分に満足しているから、そっちはいい。・・・もう少し食べろ。」
「いや、もういいよ。」
すっかり小食になっている親猫は、ひとつ食べただけで、フォークは置いてしまった。
「バナナは栄養価が高いんだ。これは食べろ。」
「・・・あのな、刹那。俺は、毎日、ちゃんとした食事をしてるんで、そこまでカロリー
の摂取する必要はねぇーんだよ。そういうのなら、おまえが食え。」
ほれ、と、フォークにバナナをさして突き出してくるので、無視したら、それだけは口
にした。
スイーツを片付けて、ココアを飲み干したが、親猫は、まだ動く気配がない。疲れたの
か、と、心配したら、背後からの走ってくる足音が近づいてきて、親猫が手を上げている
。振り向いたら、キラたちがやってくるとこだった。
「やっほー、うわぁー刹那、そういうのも似合うじゃない。」
キラたちもジャケットを着ている。俺と似たような服装だ。悟空とアスラン、シン、レ
イもいる。そして、ゆっくりと追い着いてきたのは、ハイネだ。
「お待たせしました。」
「いや、休憩してただけだ。アスラン、うちの利かん坊のこと頼むな? 」
会計するために、親猫が立ち上がってレジに向った。なんのことだ? と、思っていた
ら、キラが、今日の予定はね、と、話し始めた。
「ラクス・クラインのコンサートがあるので、貴賓席で鑑賞して、それから、ラクスの打
ち上げパーティーに乱入するから。」
「はあ? 」
「ママニャンのほうは、俺が相手するから、おまえさんは、遊んで来い。」
すぐに戻って来たニールは、ハイネに荷物のピックアップを頼んでいる。どうやら、騙
されたらしい。連れ出すために、デートと嘘をついたのだ。
「ニール、俺は、あんたとデートを継続する。」
「ん? デートしただろ? ショッピングしてお茶して、楽しくおしゃべりもした。デー
トメニューは消化したぞ? 刹那。たまには、コンサートもいいだろ? みんなで遊んで
来い。」
「あんたは? 」
「俺は、うちに帰る。さすがに、コンサートまでは付き合えないんでな。」
「せつニャン、ママニャンは、これぐらいが限界だ。」
い。そそくさと出かける用意をして、親猫と一緒に外出する。
「どこへデートなんだ? 」
「とりあえず、おまえさんの服と靴のサイズの確認だ。」
戻ってくる度に、多少、サイズが大きくなっているから、今回は、ちゃんと計らせても
らうと言う。いつもなら、近くのスーパーの廉価品なのに、なぜだか、ショッピングモー
ルまで遠征した。そして、いつもよりは高そうで若いもの向けのショップへ入る。あれや
これやと着せられて、腰周りとか股下とかも測ってもらって、ちょっとかっちりした服を
着せられた。
「なぜ、着替えるんだ? 」
「靴も合わせたいから。」
次に靴屋だ。そこでも、普段、ほとんど履いたことがない革靴を選んで、こちらも履か
されて外へ出る。
上から下に、親猫は眺めると、にっぱりと笑って頷いた。
「うん、なかなか大人っぽく決まったな。上等、上等。」
ニパニパと親猫は笑って、それからいつも買い物する廉価品の店で、普段着もいくつか
買ってくれた。ここから出かけると何ヶ月かは帰らないので、俺が着ていく服というのは
、そのまま汚れて捨ててしまうから、廉価品で十分なのだ。それなのに、なぜ、こんなホ
ストの時に着るようなものを着せるんだろうと思いつつ、靴も普段履きのものを探して買
った。そろそろ荷物が多くなってきたところで、休憩だと、カフェに入った。
「ここ、ワッフルが美味いんだってさ。どれにする? 」
「チョコとバナナとアイスのトッピング。」
「おう、じゃあ、それとアイスココアでいいな? 」
荷物は、かなりの量になっている。そんなに買い込むことはないだろうと呆れたものの
、親猫が嬉しそうなので黙っていた。この親猫、なんだかんだと俺のものを用意するのが
楽しいのだと言う。一年に何度かしか顔を出さないから、成長を考えて準備してくれてい
るのが常だ。
「ニール、あんたのはいいのか? 」
「俺? 俺は、おまえさんと違って、適当に買い足しているし、もうサイズは変わらない
からな。それほど必要じゃないんだ。」
「俺が着れなくなった服は、どうしているんだ? 結構あるだろ? 」
戻ってくる度に、何かしら新しいものになっている。それからすれば、かなり廃棄され
ているはずだ。
「リサイクルできそうなのは、そうしてるし、無理なのは、雑巾にしたりするから、あん
まり捨ててないぜ。」
「ぞうきん? 」
「うん、Tシャツの布ってさ、吸水率いいんだよ。おまえさんの服ってさ、基本、Tシャ
ツかシャツに、布地のパンツだろ? だから、雑巾になりやすい。」
「ティエリアのもか? 」
「ティエリアは、ほとんどサイズが変わらないから、季節的に足りないものを買い足すぐ
らいだ。」
「フェルトは? 」
「ラクスが、ほとんど準備してるし、そのまま持ち帰りさせてるから、こっちで処分する
ことってないな。」
「俺のだけ、雑巾か? 」
なんだか、俺のだけが、雑巾にされていると言われると悲しい気分になったが、親猫は
、へらへらと手を振っている。
「おまえさんのだけじやないぜ。うちのは、みんな、古くなったらそうしてる。三蔵さん
の袈裟だけは、さすがに使えないけどなあ。」
確かに、黒の袈裟なんてものは再生利用できるものではないだろう。あれだけは、確実
に廃棄処分になるな、と、親猫は笑っている。ちょうど、ワッフルと飲み物がやってきた
ので、手をつける。親猫は、アイスカフェオレだけだ。
「少し食べろ。」
「はいはい。切り分けてくれ。」
ワッフルを適当な大きさに切り分けたら、親猫もフォークで、そこいらをつついた。季
節は春で、暖かくて、親猫の身体にも悪くない。のんびりとカフェでお茶をするには、い
い時候だと思う。
「なあ、刹那、他に欲しいものはないか? 」
「ない。」
「あっさりしてるなあ。ちょっとは物欲なんてものも湧かしてくれないかなあ、刹那さん
や。」
「これといって思い当たるものはない。」
と、答えてから、ふと浮かんだものがあって、それを口にしたら、親猫に苦笑された。
昨日のデザートに大きなババロアが出てきたのだが、新作でおいしかったのだ。
「ババロアね。わかった、明日、もう一回作ってやるよ。」
「あんたは年々、料理の腕が上がる。」
「そうか? おまえさん、せっかく、世界を放浪してるんだから、その土地、土地のもの
も食べてみたらどうだ? 」
「そこまで暇じゃない。」
世界の歪みを確認する旅をしているので、そこまで余裕はない。面倒だと携帯食で数日
、誤魔化す時もある。それに、わざわざ、そういうものを検索して店を探すのも煩わしい
。
「そういうのも、経験のひとつにはなると思うんだけどなあ。」
「あんたの料理で十分に満足しているから、そっちはいい。・・・もう少し食べろ。」
「いや、もういいよ。」
すっかり小食になっている親猫は、ひとつ食べただけで、フォークは置いてしまった。
「バナナは栄養価が高いんだ。これは食べろ。」
「・・・あのな、刹那。俺は、毎日、ちゃんとした食事をしてるんで、そこまでカロリー
の摂取する必要はねぇーんだよ。そういうのなら、おまえが食え。」
ほれ、と、フォークにバナナをさして突き出してくるので、無視したら、それだけは口
にした。
スイーツを片付けて、ココアを飲み干したが、親猫は、まだ動く気配がない。疲れたの
か、と、心配したら、背後からの走ってくる足音が近づいてきて、親猫が手を上げている
。振り向いたら、キラたちがやってくるとこだった。
「やっほー、うわぁー刹那、そういうのも似合うじゃない。」
キラたちもジャケットを着ている。俺と似たような服装だ。悟空とアスラン、シン、レ
イもいる。そして、ゆっくりと追い着いてきたのは、ハイネだ。
「お待たせしました。」
「いや、休憩してただけだ。アスラン、うちの利かん坊のこと頼むな? 」
会計するために、親猫が立ち上がってレジに向った。なんのことだ? と、思っていた
ら、キラが、今日の予定はね、と、話し始めた。
「ラクス・クラインのコンサートがあるので、貴賓席で鑑賞して、それから、ラクスの打
ち上げパーティーに乱入するから。」
「はあ? 」
「ママニャンのほうは、俺が相手するから、おまえさんは、遊んで来い。」
すぐに戻って来たニールは、ハイネに荷物のピックアップを頼んでいる。どうやら、騙
されたらしい。連れ出すために、デートと嘘をついたのだ。
「ニール、俺は、あんたとデートを継続する。」
「ん? デートしただろ? ショッピングしてお茶して、楽しくおしゃべりもした。デー
トメニューは消化したぞ? 刹那。たまには、コンサートもいいだろ? みんなで遊んで
来い。」
「あんたは? 」
「俺は、うちに帰る。さすがに、コンサートまでは付き合えないんでな。」
「せつニャン、ママニャンは、これぐらいが限界だ。」
作品名:こらぼでほすと せっちゃんはぴば 作家名:篠義