合鍵の管理の問題
ドアに鍵を差し込む音がした。
続いてかちゃん、と鍵が回る音、
鍵を抜く音。
それをベッドに横たわって聞いていた。
焦がれる気持ちを抑えながら。
「おい、ジグ、
お前、いつも扉に鍵をかけていないんだったら、
合鍵なんて渡す意味ないんじゃないか」
部屋に入ってくるなり、あきれた様子でファズは言った。
「俺も・・・人から習慣だと聞いたから試しているだけで、
意味は特に考えていたわけじゃない」
「・・・あのな。
俺はてっきりお前がいつも部屋に鍵をかけているものだと思って・・・
入るときにはいつも鍵を開けようとするんだが、
お前は部屋にいるときもいないときでも施錠してないから・・・
必ず俺は二回、鍵を回してから扉を開けてるんだぞ」
「面倒だな」
「面倒というか・・・
まあ、もうジグは鍵をかけないっていうのはじゅうぶん分かったから、
この合鍵ももう、使いはしないかな」
そういいながらファズは銀色の小さな鍵を、手の中でもてあそんでいた。
「・・・もう使わないか」
「ああ」
ファズはベッドに腰掛けて、ジグの顔を覗き込んできた。
「でも、それはファズに持っていて欲しい」
「そうか」
ファズの顔が近づき、唇が近づき、重なる。
ファズの両手で顔を包まれて、引き寄せられるようにして更に深く口付けられる。
うっとりと目を閉じて、焦がれ続けた感触に酔う。
部屋まで来て欲しい、とファズを声を掛けたときから・・・いや本当はもっと、ずっと前からこれを待っていた。
「なんだ・・・今日はずいぶん、」
唇を離してささやかれるファズの言葉をさえぎるように、
腕をつかんで、ベッドの中央まで引き寄せる。
「久しぶりだからな」
「そう・・・だったか?
最後に・・・その・・・抱き合ったのは、
いつだったかな」
「忘れた」
というか、思い出そうともしていない。
今こうして目の前にファズがいてくれるのに、過ぎた事を考えるなんてできないと思う。
横たわる身体に馬乗りになり、
ファズはジグの服を脱がしにかかる。
ジグはただじっと瞳を閉じて、
素肌を滑っていく手の感触、あたたかさをかみしめていた。
「・・・・?」
かすかに金属の音が聞こえたような気がする。
目を開き、体を緊張させたジグに、ファズがどうした、と声をかけた。
「ドアの方から・・・音が・・・」
「気のせいだろ?俺は鍵をちゃんと閉めたぞ」
「そうか・・・」
「確かめてくるか?」
「いや、いい・・・ それよりも、
早く・・・」
熱っぽく潤んだ赤い瞳にじっと見返され、
たまらなくなってジグの体を抱きしめ、くちづける。
その時、
「・・・!
・・・誰かいる」
「えっ」
気配を感じて起き上がったジグと、
ジグの言葉に振り返ったファズは、
衝立の向こうに人影を、確かに見た。
影は素早く入り口の方へ動き、
ぱたぱたと足音を立てて、そのまま逃げるように部屋から出て行った。
続いてかちゃん、と鍵が回る音、
鍵を抜く音。
それをベッドに横たわって聞いていた。
焦がれる気持ちを抑えながら。
「おい、ジグ、
お前、いつも扉に鍵をかけていないんだったら、
合鍵なんて渡す意味ないんじゃないか」
部屋に入ってくるなり、あきれた様子でファズは言った。
「俺も・・・人から習慣だと聞いたから試しているだけで、
意味は特に考えていたわけじゃない」
「・・・あのな。
俺はてっきりお前がいつも部屋に鍵をかけているものだと思って・・・
入るときにはいつも鍵を開けようとするんだが、
お前は部屋にいるときもいないときでも施錠してないから・・・
必ず俺は二回、鍵を回してから扉を開けてるんだぞ」
「面倒だな」
「面倒というか・・・
まあ、もうジグは鍵をかけないっていうのはじゅうぶん分かったから、
この合鍵ももう、使いはしないかな」
そういいながらファズは銀色の小さな鍵を、手の中でもてあそんでいた。
「・・・もう使わないか」
「ああ」
ファズはベッドに腰掛けて、ジグの顔を覗き込んできた。
「でも、それはファズに持っていて欲しい」
「そうか」
ファズの顔が近づき、唇が近づき、重なる。
ファズの両手で顔を包まれて、引き寄せられるようにして更に深く口付けられる。
うっとりと目を閉じて、焦がれ続けた感触に酔う。
部屋まで来て欲しい、とファズを声を掛けたときから・・・いや本当はもっと、ずっと前からこれを待っていた。
「なんだ・・・今日はずいぶん、」
唇を離してささやかれるファズの言葉をさえぎるように、
腕をつかんで、ベッドの中央まで引き寄せる。
「久しぶりだからな」
「そう・・・だったか?
最後に・・・その・・・抱き合ったのは、
いつだったかな」
「忘れた」
というか、思い出そうともしていない。
今こうして目の前にファズがいてくれるのに、過ぎた事を考えるなんてできないと思う。
横たわる身体に馬乗りになり、
ファズはジグの服を脱がしにかかる。
ジグはただじっと瞳を閉じて、
素肌を滑っていく手の感触、あたたかさをかみしめていた。
「・・・・?」
かすかに金属の音が聞こえたような気がする。
目を開き、体を緊張させたジグに、ファズがどうした、と声をかけた。
「ドアの方から・・・音が・・・」
「気のせいだろ?俺は鍵をちゃんと閉めたぞ」
「そうか・・・」
「確かめてくるか?」
「いや、いい・・・ それよりも、
早く・・・」
熱っぽく潤んだ赤い瞳にじっと見返され、
たまらなくなってジグの体を抱きしめ、くちづける。
その時、
「・・・!
・・・誰かいる」
「えっ」
気配を感じて起き上がったジグと、
ジグの言葉に振り返ったファズは、
衝立の向こうに人影を、確かに見た。
影は素早く入り口の方へ動き、
ぱたぱたと足音を立てて、そのまま逃げるように部屋から出て行った。