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日照ラテ粉
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novelistID. 26877
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合鍵の管理の問題

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「・・・・・・」
あまりの衝撃に言葉が出ない。
人影は誰のものだったのか、わからない。が・・・確かにいた。
人に見られた。これはまずい。
二人の関係は、まだ誰にも知られたくなかったのに。

「ファズ・・・・鍵は閉めたっていったよな?」
「言った。本当に、確かに鍵をかけたんだ。
 何であいつは・・・あの誰かは・・・部屋に入ってこれたんだ。
 合鍵は俺が持ってるのに・・・」
「・・・・ファズ。
 忘れていたが・・・合鍵はもうひとつあって・・・
 今おれの手元に無い、といことは」
「ジグ、お前・・・・
 そんなこと、どうして忘れて・・・いや」
ファズは息を吐いて、ひとまず気持ちを落ち着かせようとする。
「じゃあ、さっきはその鍵を持っていた奴が部屋に入ってきたんだな。
 俺たちの格好が見えたから出て行ったのか・・・俺たちに気づかれから逃げたのかは
 わからないが。
 ジグ」
「・・・」
「その、もうひとつの合鍵を渡していたのは、誰なんだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・わからない」
「はあ!?」
「渡す相手を決めていたわけじゃなくて、
 話がしたいと思った相手に渡して、
 その都度返してもらったり・・・渡したままにしてたり・・・
 だから、今、誰が持っているのか、すぐにわからない」
「ジグ・・・・・」
ファズは頭を抱えた。
「じゃあ、せめて絞り込むぐらいは・・・。
 鍵を渡した覚えのあるのは、何人くらいなんだ」
「渡したことがあるのは・・・
 ・・・マキス。リド。」
「ああ・・・・」
気まずい。
信頼のできる、頼りになる仲間だとは思っているが。
幼馴染と半裸で抱き合う姿を見られていたら、
どういう顔をしてなんて言い訳をすればいいのか。
「・・・レン。・・・イゴリダ。」
「女の可能性もあるのか・・・!!」
「タイロン。ケイトン。それから・・・・
 ・・・・ミシー。」
「ミシー!!?」
ジグの口から妹の名前が出され、ファズの顔は真っ青になった。
「ミシー・・・。もしあいつだったら、
 あいつに見られていたら・・・・」
立ち上がり、上半身裸の格好のまま、部屋の中をぐるぐると歩き回る。
ジグはそんな兄の立場というものを気の毒に思ったが、
今後のことを考えると、恥ずかしくてどうしようもないのは自分も同じなので、
なんとも声をかけられずにいた。
「・・・ジグ。明日になったら、鍵の在り処を確かめてくれ」
「ああ・・・」
「・・・・俺も一緒に探した方がいいか?」
「いや、それは・・・・おれ一人の方がいい、
 一人で話をさせてくれ」
さっきの状態を目撃されてしまった仲間に、
ファズと二人で向き合うというのは、ひとりで話をするより遥かに恥ずかしいと想像できてしまう。
「それから、こんなこと・・・ふれ回るような人たちではないとは思うが、
 他の人に・・・知られないように・・・」
「ああ」
口止めをしておけということか。
「・・・・。」
そこまで話すとファズはまた頭を抱えてしまった。
ミシーのことを考えているのか。
「ファズ・・・ごめん」
「ジグ」
「俺のせいだ」
他の仲間にも鍵を渡していたのを忘れて、恋人を自分の部屋に誘った。
そのせいでファズがこんな、困って、うろたえた顔をしている。
「ごめん・・・」
「ジグ・・・
 この部屋だとまずいから、俺の部屋まできてくれるか。
「・・・ファズ?それは、」
「さっきの続きをしよう」
そう言ってジグの額にキスをする。
わざわざ大げさな音を立てて。
「!ファズ、でも」
「別に、やけになってるわけじゃないからな。
 俺はお前に怒っていないし、
 お前のせいだとも思ってない」
「それは・・・」
「仕方なかったんだ。いつかは誰かに知られるだろうとは思っていた。
 ・・・たとえ知られるのがいつだって、どんな形だって、
 恥ずかしいのは一緒だっただろ」
「・・・・」
「他のなによりも、お前と一緒にいることが大切だって、
 本当に俺がそう思ってるって・・・・
 証明したいから。今日、お前を抱かせて欲しい。」
ファズの言葉と、熱のこもった視線に、
冷めかけていた欲がかきたてられる。
すまないと思う気持ちは消えないのに、
自分を一番大切だと言ってくれた親友の言葉が、どうしようもなく嬉しい。
「・・・・ジグ、大丈夫か。」
「何が・・・」
「顔が真っ赤だ」
「どうでもいい、そんなこと気にするな」
散らかしていた上着をぞんざいに羽織り、ボタンも留めないまま、
ジグは扉へ歩き出した。


ファズの部屋に入ってすぐ、待ちきれないというようにジグは服を脱ぎ捨て、親友の体を抱きしめた。
自分もまた、ファズのことが一番大切だと、
言葉だけでなく全身で伝えたくて。



作品名:合鍵の管理の問題 作家名:日照ラテ粉