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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
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しのびよるもの

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暫しその場所で待っていると、臨也の前に数人の男達が現れた。
予想通り、明らかに物騒な雰囲気をしたお兄さん(おじさん含む)達である。
彼らはお互い小声で何か話し合い、臨也は何かを受け取った。
それは帝人の居る場所からは見えない。
男達の背に隠れて、受け取ったものが見えないのだ。(そう、つまり帝人は臨也の正面に居るのだった)(最初は横顔が見えていたのだが、男達が来るといつもの大仰な仕草でわざわざ彼らの前まで回って見せた)(意味が分からない)
しかし、世の中には知らない方がいいという事もあるし、物もある。
多分、臨也が受け取ったものも、知らない方がいいのだろう。(というか知ったら危険)
臨也は男達が去った後も暫くその場に居て、10分程経ってから歩き出した。
今度はどこに行くのだろうか、どこかわくわくとしている自分に帝人は驚く。
その時、携帯が震えた。
臨也から離れないように歩きながら携帯を開けると、またもや正臣からのメール。
今度は「何だか帝人が変な事に首突っ込んでる予感がして仕方ないぜ。ああそれともまた臨也さんにストーキングされてるとか!危険、危険だぞ帝人!!油断するとおか、いや、輝かしい休日が勿体無いからナンパしろ!そして上手く行ったら俺に紹介するように!」などというメールだった。
帝人は、本当は正臣、暇なんじゃないの?と思いながらも、またハタリと気付いた。
ストーキング。
そう、今の帝人の状態を言葉にするなら、これであろう。
そして思った。
何故、日頃臨也にストーキングされているのに、自分がストーキングし返さなければならないのだ。
これでは意趣返しにもならない。
携帯の時計を確認すれば、臨也を跟け始めてから既に3時間が経っていた。
イタタタ、帝人は額を掌で覆う。
まさに、無駄な時間であった。(何故なら臨也と一緒に居るという事は、既に日常であるのだから)
気付いてみれば、簡単な事。
帝人は視線の先の臨也を一瞥すると、踵を返した。
ああ、無駄な時間を過ごした、今からでもトイレットペーパーを買って帰ろう。
黄色い看板に向かって歩き始めると、ふいに肩を叩かれた。

「帝人君、どうしてやめちゃうの。」
「……こんにちは、臨也さん。」
「ああ折角のデートが邪魔されちゃったから?ごめんよ、あいつらどうしてもって聞かなくて。でも大丈夫拗ねないでいいよ、君が一番だから!帝人君、ラブ!!!」

バッと季節はずれのモッズコートを広げる臨也を冷ややかな視線で眺めて、帝人は気付いた。
自分が臨也を跟けている、というのは、彼にバレバレだったのだ、と。
無意味に連れ回した(勝手に帝人が跟けていたのだが)のは、多分、臨也的にはデートだったのだろう。
正直、ウザイというかイタイ。
ああ、じゃあ、もしかして。

「………ありがとうございました。」

あの時わざわざ立ち居地を変えたのは、臨也が会っていた男達が、帝人の姿を捉えられないようにする為、なのかもしれない。
そう思って、一応、お礼を告げる。
臨也は一瞬いつもの笑顔を固まらせて、それからまた笑った。

「何の事かな?」
「…いいえ、急に、お礼が言いたくなっただけです。」
「…… そ。」

臨也は帝人の隣りに立って、歩く。
帝人もそれを容認した。

「ところで、どこ行くのかな?」
「トイレットペーパーを買いに行きます。」
「じゃあ俺が払ってあげるし、持ってあげよう。」
「あ、じゃあ洗剤もお願いします。」
「米だって買ってあげるよ。」
「嬉しいですが、ドラックストアに米は無いです。」
「じゃあスーパーに行こうか。庶民派デートも帝人君となら胸が高鳴るね!」
「……払ってくれるなら、いいですよ。」
「何だって買ってあげるよ!」

また、携帯が鳴る。
けれど、帝人はそれに気付かないフリをして笑った。
臨也も、隣りで楽しそうに笑っていた。


結局は、なんだか臨也が居ないのが、落ち着かなかったって事。
作品名:しのびよるもの 作家名:ぎとぎとチキン