Sunset
第2章 10年後
それから10年後、ドラコはあの南半球の小さな島にいた。
椰子の木が大きな葉を揺らして、気持ちのいい海風を運んでくる。
ゆっくりと開いた魔法界のから届いた新聞を見てドラコは、そのことを知ることになる。
【クィディッチの天才シーカー、そしてあの魔法界一の英雄、ハリー・ポッターがついに結婚!】
ドラコは笑った。
その彼の顔には悲壮感もなく、ただいつもの柔らかな笑みが浮かんでいる。
海辺に建つレストランで、彼はひとりディナーをゆっくりと食べていた。
ふと冷えたリキュールを手に持ち、ちょっと上にかざして、乾杯するような仕草でそれを飲んだ。
「おめでとう、ハリー……」
琥珀色の液体が心地いい冷たさでのどを滑っていく。
開いた窓から打ち寄せる波の音は静かで、水平線に落ちていく夕日は想像以上に美しかった。
キラキラと世界が金色に輝いている。
――――すべてが夢のようにきれいだった………
■END■
*ドラコ、君の青い鳥は、いったいどこに?
「幸せ」には人それぞれに、いろんな形があります。もちろんこのドラコは決して不幸ではありません。ある意味一番幸せなのかもしれません。
ここに至るまでの日々を、いつか書いていきたいと思っているのですが……